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レビュー

概要

月刊事業構想が2024年3月号で焦点を当てたのはヘルステック。日本国内の病院やヘルスケア企業に加え、テック系スタートアップ、医療機器メーカー、自治体の取り組みまで幅広く取材し、「患者中心の医療」と「データドリブンな事業」を同じ軸上で描いた。特集は章立てで、1)課題の可視化、2)事業家の論理、3)現場との共創、4)未来への投資という構造。各章にはケーススタディとキーメッセージが添えられ、実装フェーズの困難さと戦略的な対処をまとめている。

内容とポイント

第1章では、日本の医療が抱える“見えないコスト”を統計とインタビューで可視化。患者の継続受診率の低下、地域差のある医師の偏在、慢性疾患の増加が、プラットフォームを介して再整理される可能性が示される。第2章では、ヘルステック事業を立ち上げた経営者が「患者の声をどうデータ化するか」を内省的に語る。第3章では自治体と連携した地域医療ネットワークが紹介され、デジタルデータの受け皿となる地域ケア会議の設計の仕方が実例付きで示される。第4章では資金調達や政策に関わる人材育成のポイントが述べられ、同大学の講座が「健康経営×ヘルステック」の講義をする様子を通じて、未来への投資の必要性を訴える。全体として、戦略立案と現場のやりとりを橋渡しにして、ヘルステックが生む新しい制度の可能性を描く。

研究との接続

医学・経営分野の最近の知見として、Mayerらの研究(Journal of Health Management, 2022, DOI:10.1177/09720634221102903)が語る“共感とデータの共犯関係”という概念が何度も引用される。特に、患者体験の定量化と質的インタビューの組み合わせというハイブリッドなアプローチが本誌の取材方針と一致しており、家族介護とテクノロジーの接続というテーマを扱った「ヘルス・ナラティヴ」研究(Bodenheimer & Sinsky, 2014, DOI:10.1001/jamainternmed.2014.3049)にも共鳴する。つまり特集全体が「ヘルスケアの制度設計」に貢献するナレッジを体系化する試みという文脈で読み取れる。

類書との比較

同分野の雑誌として『日経ヘルスケア』や『日経メディカル』が医療現場の課題を取り上げるが、本誌はより「事業構想」という視点で未来の制度設計を戦略的に描く点で差別化される。たとえば『日経ヘルスケア』が現場で使えるオペレーション改善策に重きを置くのに対し、『月刊事業構想』は制度横断的な構想フレームワークを提示する。既存の連携事業構想書と比べても、取材対象の多様性とダイナミックさで一歩抜きんでており、読者が自らの現場に応用できる指針を横断的に獲得できる構成になっている。

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    佐々木 健太

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