Kindleセール開催中

451冊 がお得に購入可能 最大 95%OFF

レビュー

概要

『苺ましまろ(1)』は、小学校高学年の女の子3人と16歳の女子高生1人の日常を、ポップでキュートな温度のまま切り取るコメディです。作品紹介にある通り、先の読めないオチャメな言動と、ぷにぷにしたほっぺたで愛らしさを振りまきまくる。その「無敵のかわいさ」と「言動の予測不能さ」が、1巻の核になっています。

さらに、作者にとって初の単行本という位置づけも明記されています。最初の1冊に、その作品のテンポや笑いの癖が凝縮されているタイプです。

読みどころ

1) ほのぼのなのに、会話の角度が鋭い

日常系は、雰囲気が良いだけだと単調になります。でも本作は「思わずニンマリしてしまうタイミングがいっぱい」とされる通り、会話のズレや返しが細かい。かわいいのに、言葉の手触りが大人向けでもある。このバランスがクセになります。

2) 4人という人数が、ちょうどいい混線を作る

小学生3人だけだと、まとまり過ぎることがあります。そこに16歳が入ることで、年齢差がツッコミとボケの両方に効く。子どもっぽさと背伸びが同居し、関係性が固定されません。

「誰が読んでも」楽しめると紹介されているのは、この混線があるからだと思います。大人は大人の視点で、子どもは子どもの視点で、同じ場面の面白さを拾えます。

3) かわいさの描写が、作品のテンポそのものになる

ぷにぷにしたほっぺた、という紹介は象徴的です。本作は、キャラのかわいさが飾りではありません。絵柄の柔らかさが、間の取り方やオチの置き方とつながっています。テンポを作る装置として、かわいさが機能しています。

4) 「先の読めない」空気が、日常をイベントに変える

日常系の面白さは、事件が起きないことではなく、起きないはずの場面がイベントになることです。本作は、言動が読めないことで、何もない日が楽しくなる。肩の力が抜けたまま、ページが進みます。

5) 初単行本らしい「勢い」と、キャラの立ち上がり

作者の初単行本とされているだけあって、作品の顔を早めに決めていく勢いがあります。登場人物のかわいさを見せるだけでなく、「この4人はこう転ぶ」という関係性の癖を最初から出してくる。連載の序盤で輪郭が立つので、読者は安心して笑いに乗れます。

また、日常系で重要なのは「繰り返し」です。同じメンバーが似た場面に立ったとき、毎回違うズレが出る。本作は、そのズレの作り方が上手いタイプだと感じました。

6) かわいさの先にある「観察」の視点

本作は、女の子たちをアイドルのように眺めるだけの漫画ではありません。小学校高学年という時期の子どもっぽさと、妙に大人びた瞬間が交互に出ます。その揺れを観察する面白さがあります。

大人から子どもまで楽しめる、と作品紹介にあるのは、笑いの層が複数あるからだと思います。かわいいで終わらず、距離感のズレが刺さる。そういう作りです。

類書との比較

女子の日常コメディには、学校生活の共感型ネタを積み上げる作品も多いです。本作は、共感より、言動のズレとテンポで笑わせる比率が高い印象です。現実に寄せるより、少しだけ変な方向へ振る。その振り幅が魅力です。

また、癒やし寄りの日常漫画と比べると、本作は「癒やされる」だけで終わりません。会話の妙で笑わせ、キャラ同士の距離感で転がす。ほのぼのの中に、ちゃんとコメディの設計があります。

日常系を「空気」で読む作品と比べても、本作は笑いの密度が高いと思います。ニンマリするタイミングが散りばめられているので、短い時間でも満足できます。集中して読むというより、気分転換として開いても成立する。その読み味が強みです。

こんな人におすすめ

  • かわいい日常に、きちんと笑いも欲しい人
  • 会話のテンポが良いコメディを読みたい人
  • 大事件より、小さなズレで楽しめる作品が好きな人
  • 気分転換に、軽く読める1冊を探している人

感想

この1巻を読んで良かったのは、日常が「小さな珍事件」に見えてくる感覚でした。派手な展開はなくても、4人の言動が予想を外してくる。だから笑える。笑えるから、疲れているときでも読める。

「かわいい」は、時々、薄味の言い換えにもなります。でも『苺ましまろ』のかわいさは、テンポの一部です。間の取り方としてのかわいさ。だから、読後に残るのは癒やしだけではなく、コメディを読んだ満足感でした。

読み終えてから気づいたのは、「かわいい」と「面白い」が同じ方向を向いていることです。ほっぺたの柔らかさは見た目の魅力でもありますが、作品の空気を柔らかくし、ズレの笑いを受け止めるクッションにもなっています。その結果、毒が強くなり過ぎない。安心して笑える日常が残ります。

1巻は、シリーズの入口として軽いのに、キャラの関係性がちゃんと残る。読み返しても同じ場面で笑える。そういう日常コメディの強さを感じる1冊でした。

何度も開きたくなる軽さと、笑いの芯が同居しています。

この本が登場する記事(1件)

本の虫達

要約・書評・レビューから学術的考察まで、今話題の本から知識を深めるための情報メディア

検索

ライター一覧

  • 高橋 啓介

    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
  • 森田 美優

    森田 美優

    出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。
  • 西村 陸

    西村 陸

    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
  • 佐々木 健太

    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。