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レビュー

概要

『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』は、子どもを怒鳴ってしまう、イライラが止まらない、叱ったあと自己嫌悪になる、といった親の悩みを扱う子育て本です。著者の高祖常子は、子育てアドバイザーとして多くの家庭の相談を受けてきた人で、本書でも「怒らない親になる」より、「感情をぶつけない関わり方を増やす」ことへ重心が置かれています。

タイトルからアンガーマネジメント本のように見えますが、中身はもっと広いです。子どもの発達段階、イヤイヤ期、兄弟げんか、公共の場でのトラブル、親自身の疲れや孤立感まで含めて、感情的になりやすい場面を1つずつほどいていきます。イラストが多いので、重いテーマでも入りやすいです。

この本の価値は、親を責めないことにあります。感情的になる背景には、寝不足、余裕のなさ、完璧主義、育児の孤立がある。本書はその前提を置いたうえで、怒鳴る・脅す・叩く以外の選択肢を具体的に示してくれます。子育てを立て直したい親にとって、実用的でやさしい一冊です。

読みどころ

読みどころは、感情的になりやすい場面を「親の気合い不足」ではなく、構造の問題として見ている点です。子どもが泣く、言うことを聞かない、何度言っても動かない。そうした場面で親が爆発しやすいのは当然で、本書はまずそこを認めます。そのうえで、どう声をかけるか、どこで距離を取るか、どう予防するかへ話を進めます。

具体例が豊富なのも良いところです。たとえば、子どもの気持ちを先に言語化する。指示を短くする。選択肢を2つだけ渡す。親が深呼吸してから言い直す。そうした介入がイラストで見えるので、場面の再現がしやすいです。文章だけの育児本より、「こういう場面で使うのか」が頭に残ります。

また、本書は「叱らない」のではなく、「感情をぶつけずに伝える」方向へ軸足を置きます。危険な行動や守るべきルールは止める必要がある。ただ、その伝え方が怒鳴ることと同義ではないとわかるので、親側も現実に使いやすいです。理想論に流れすぎないところが助かります。

本書の重要ポイント

この本の重要なメッセージは、親が自分を追い詰めすぎないことです。子どもへの関わり方を変えるには、親自身の余裕を少しでも回復させる必要があります。だから本書では、子どものしつけだけでなく、親の疲れ方、孤独感、パートナーとの分担まで視野に入っています。

さらに、子どもの行動を「反抗」だけで読まない視点も大事です。眠い、空腹、不安、言葉にできない frustration など、子ども側の状態を読み直すだけで、親の介入も変わります。本書はここをとても実務的に扱っていて、気持ち論だけで終わりません。

もちろん、1冊読んですぐ完璧な親になれるわけではありません。ただ、爆発する前に止まる、小さく言い換える、あとでやり直す、といった現実的な改善単位が示されているので、続けやすいです。子育て本としての使い勝手はかなり高いと思います。

類書との比較

「怒らない子育て」系の本は多いですが、本書は禁止事項を並べるより、代わりに何をするとよいかを具体的に示します。イラストで場面が見えるので、言葉だけの本より腹落ちしやすいです。

また、モンテッソーリや発達心理学の本が理論中心なのに対し、本書は今まさに困っている親がすぐ試せることへ寄っています。理論の厳密さより、家庭での実装のしやすさを優先した本です。

こんな人におすすめ

つい子どもに怒鳴ってしまう人、叱ったあとで後悔する人、パートナーとの子育て温度差に疲れている人におすすめです。とくに幼児期から小学校低学年くらいまでの「毎日同じことでぶつかる」時期に相性がいいです。

また、子育て本は読みたいけれど重い本は続かない人にも向いています。イラスト中心で読みやすく、それでいて内容は軽すぎないので、最初の1冊として手に取りやすいです。

感想

この本を読むと、感情的にならない子育てとは、怒りを消すことではなく、怒りをそのまま子どもへ投げない工夫を増やすことだとわかります。そこが現実的で、親としてかなり救われるポイントです。

子どもを変える前に、親が少し立ち止まるための本としてよくできています。育児の自己嫌悪を減らしながら、家庭の空気を少しずつ整えたい人に役立つ1冊でした。読んだその日から声かけを1つ変えてみようと思える実践性があります。毎日同じことでぶつかって疲れている家庭ほど、小さな改善のきっかけになるはずです。

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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