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レビュー

概要

『プリズナー・トレーニング 圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』は、器具に頼らず、自分の体を使って本質的な筋力を高めるためのトレーニング本です。派手な最新メソッドより、腕立て、懸垂、スクワット、レッグレイズ、ブリッジ、逆立ち腕立てといった基本動作を、段階的に強くしていく考え方を中心に据えています。見た目の筋肥大だけでなく、体を扱う力そのものを作る本です。

本書の特徴は、最初から難しい種目へ飛ばないことです。各動作に初歩から上級までのステップが用意されていて、自重トレーニングを「気合いでこなすもの」ではなく、技術として積み上げます。筋トレ本は刺激の強いメニュー紹介に流れがちですが、本書は地味な土台づくりを重視しており、長く使えるのが強みです。

読みどころ

読みどころは、第1にプログレッションの組み方が明快な点です。いきなり片手腕立てや片脚スクワットを目指すのではなく、壁、台、浅い可動域といった簡単な段階から始め、フォームを保ったまま負荷を上げていきます。この考え方があるだけで、自重トレーニングが「できる人だけのもの」ではなくなります。

第2に、体幹や関節の安定性を軽視していないのもよいところです。自重トレは手軽に見えて、実際には姿勢、肩甲骨、股関節、腹圧の使い方が大きく影響します。本書は、ただ回数をこなすより、正しい動きを身につけることを優先しているため、フォームが崩れて伸び悩む人に向いています。

第3に、器具がなくても鍛えられるという自由さも魅力です。ジムへ行けない時期、出張中、育児でまとまった時間が取りにくい時でも、トレーニングの継続を切らしにくいです。環境依存度が低いので、習慣化という面でもかなり強い本です。

さらに、本書が扱う基本動作は全身の能力ごとに整理されています。押す・引く・しゃがむ・脚を上げる・反る・逆さで支える、といった区分です。この分類があるおかげで、自分に足りない要素を把握しやすいです。家トレが腕立てと腹筋だけに偏りがちな人ほど、全身設計の感覚を学べます。

類書との比較

一般的な筋トレ本は、ダンベルやマシンを前提にしたプログラムが多く、重量管理が中心になります。それに対して本書は、自分の体を支える、押す、引く、反らすという基礎能力を重視します。数字の更新より、動作の質と制御力を積み上げる方向なので、トレーニングの性格がかなり違います。

また、自重本の中にはサーキット形式で汗をかくことを重視するものもありますが、本書はコンディショニング寄りというより、筋力の段階的な育成へ軸足があります。そのため、短時間で消耗したい人より、きちんと強くなりたい人に向いています。

こんな人におすすめ

  • ジム不要で本格的な筋力をつけたい人
  • 自重トレーニングを自己流でやって伸び悩んでいる人
  • 道具がなくても続けられる運動習慣を作りたい人
  • 格闘技やスポーツの補強として、体の扱い方を整えたい人

忙しい社会人や子育て中の人とも相性がいいです。

逆に、短期間で見た目だけを大きく変えたい人や、重量挙上の記録更新を最優先する人には少し地味に見えるかもしれません。本書は、派手さより土台を作る本です。

感想

この本を読んでよかったのは、自重トレーニングに対する見方が「家でやる簡易版」から「独立した強化法」へ変わることです。器具がないから妥協するのではなく、器具がないからこそ動作の質が問われる。そう考えると、腕立てやスクワットの意味がかなり変わってきます。

また、段階設定が丁寧なので、できないことに焦らず進めます。いまの自分がどのステップにいるかを確認しながら続けるだけで、反復に意味が生まれます。派手なトレンドに流されず、強い体を長く作りたい人にとって、再読しながら使えるトレーニング本でした。

実用面では、種目ごとに今の段階を書き残し、次にどの条件を満たしたら進むのかをメモしておく読み方が向いています。昨日より1回多くできたか、可動域が少し広がったかを見るだけでも継続しやすくなります。自宅で地道に強くなりたい人にとって、かなり信頼できる教本です。

器具を買い足さなくても進歩を感じやすい点も大きな利点です。忙しくてジム通いが不安定な人でも、手元に残る基礎体力を作りやすいので、長期的にはかなりコストパフォーマンスが高い方法だと感じました。

週に数回でも継続しやすく、環境が変わっても切れにくいのが強みです。

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    佐々木 健太

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