レビュー
概要
京都の舞妓さんたちの日々を、まかない担当の主人公・小松さきが食事で支えるコミックエッセイ。さきは昔ながらの味をまかないで繰り返し、舞妓さんたちの偏った食事や多忙なスケジュールを整えていく。第1巻では、舞妓さんが夏の暑さでバテたとき、外国人客向けにアレンジした料理、出稽古の前に必要なエネルギー補給など、実際の京料理の技術と「人を支える気持ち」が描かれる。
読みどころ
1) 食材と向き合う姿勢
旬の野菜や昆布、鰹節を大量に扱って下ごしらえする過程が「ていねい」に描かれる。たとえば、煮物に使う大根の面取りをしながら「煮込み時間を逆算」するシーンでは、調理技術と時間管理が同居し、読者にも自分のまかないが生まれていく気配を感じさせる。
2) 舞妓さんのエピソード
舞妓の一人が「ここ最近、胃が痛くて」訴えたとき、さきは胃に優しい葛湯と味噌汁を用意し、同時に「薬を飲まない日もある」と彼女の習慣を尊重。コミュニケーションの中で「食べ物がケアになる」瞬間を強調し、まかないがただの腹ごしらえではないことを示す。
3) 京都の風景と生活
細やかな背景に舞妓さんの店構え、祇園の路地、寂れた裏通りまで描写され、読者には京都の湿気や香りが伝播する。季節ごとの献立をコマで示すことで、まかないが文化ともつながっていることがわかる。
類書との比較
食事をテーマにした漫画では『孤独のグルメ』や『食戟のソーマ』と比べて、こちらはどこか温度が低く、「人を支える」観点が強い。『かもめ食堂』に通じる「食べることで近づく関係性」を、日本の古都と舞妓という特殊な文化に落とし込んだところが特徴。
こんな人におすすめ
- 京都や和食のテクニックをマンガで知りたい人
- まかないや健康調理のヒントを探している人
- 文化的な背景のある職業漫画が好きな読者
- 心に寄り添う家族的な関係を楽しみたい人
感想
まかないを一緒に作っているようなリズムで読め、読後には台所に立ちたくなる。「忙しくて自炊できない」と思っていたときに、その日常の風景が拍子を変えてあたたかく見えてきた。舞妓さんたちを支える人がいることのありがたさをしみじみ感じる1巻でした。