レビュー
概要
『メイドインアビス』1巻は、深海のような構造を持つ巨大な縦穴「アビス」で、少年少女が身体の限界を突破しながら探索する冒険ファンタジー。主人公・リコは母の正体を探るためアビスへ飛び込み、身体が次第に高度な圧力・酸素濃度に対応するまでのリズムを一歩一歩調整する。
読みどころ
- アビスの深層・圧力の変化に合わせ、リコたちが呼吸をゆっくりと刻んでいく描写が続く。圧縮された空気が身体に重くのしかかる様子が、細い線とトーンで示され、読者にも“呼吸の調律”の重要性が伝わる。
- 1話でリコがアビスの獣と遭遇した際、体の緊張、血流、視線がスプリットされる。わずかに変化した手の位置や足の置き方を視覚的に追うことで、自分の身体がアビスのリズムにどれだけ影響されているかを追体験する。
- 生物学的な描写も豊富で、アビスを構成する微粒子や有毒ガスが体内にどのように影響するかが説明されており、身体的な不安を数値的に共有する構造になっている。
類書との比較
巨大な穴と生態系を描く点では『ランド』に近いが、『メイドインアビス』は身体の感覚と精神のズレを素材にしている。スプラッシュな恐怖よりも、身体のリズムの再構築が進行の軸となっている。
こんな人におすすめ
- 変化する環境に対して身体を合わせる冒険譚を求める人。
- 自然のリズムを身体的に調整する感覚を味わいたい人。
感想
アビスの空気を読みながら、自分の呼吸もゆっくりと変える感覚が残る。