レビュー
概要
『暁のヨナ』1巻は、王女ヨナが追放された後、身体と国を再構築する旅を始める序章である。彼女の身体は仮初めの安全圏から解き放たれ、荒野のなかでエネルギーの使い方を再学習する。冷えた夜、身体の芯まで届く火の扱い、走るときの重心の置き方が、今までの宮廷生活と異なる“感覚の再調整”を描く。
読みどころ
- 荒野で眠るヨナは、首筋に冷たい風を感じるたびに、自分の躯を反転させる。風に対して身体を開く角度と、腕の力を抜くタイミングが、コマごとに丁寧にトレースされ、読者にもそのリズムが伝わってくる。
- 仲間たちとの交流では、視線の間隔がさまざまなテンポを生む。岩陰での会話では、言葉よりも心拍の調整が先行し、相手の呼吸に自分が合わせることで信頼を築いている。
- 敵の襲撃を受ける場面では、ヨナが身のこなしを瞬時に変え、筋肉の収縮・伸張をコマ内に展開。身体がオートパイロット的に動く過程が、緊張状態の再現性を高める。
類書との比較
歴史的ファンタジーとしては『十二国記』や『乙嫁語り』に通じるが、本作は身体を再構築するための“旅”を手触りとして描いている。王族のリズムを捨て、身体が爆発的に変化する様を科学的に追う点では『砂の栄冠』のような感覚もある。
こんな人におすすめ
- 身体を緩やかに再調整したい読者。
- 時間の加速度に合わせる身体感覚を鍛えたい人。
- 旅と戦いを身体的なリズムで描く物語を好む人。
感想
1巻では、ヨナの身体が幾度も揺さぶられる。炎と冷気に触れるたび、彼女は自分の呼吸を再調節し、読む者にリズムの重要性を伝える。