レビュー
概要
『ジョジョの奇妙な冒険 第1部 ファントムブラッド』カラー版1巻は、19世紀末の英国と日本を舞台に、石仮面と波紋の技術を軸にした超人的バトルを描く。主人公・ジョナサン・ジョースターは、貴族としての教養と肉体を持つ一方で、友人ディオの暴走によって命を懸けた戦いに巻き込まれる。物語は、波紋呼吸を通じた身体改造と血族間の倫理を重層的に重ね、カラー版ならではの鮮烈な色彩で肉体とオーラの密度が可視化される。
読みどころ
- カラー表現が波紋のエネルギーラインや石仮面の赤、ジョナサンの肌の質感を際立たせ、白黒版では受け取れない「確信的なテクスチャー」が生まれている。荒木は色彩を強調して人体の筋繊維を立体化し、戦闘を磁場として読者に提示する。
- 波紋呼吸のトレーニングでは、呼吸・心拍・血流の連動が図版的に描かれ、読者はその呼吸パターンを身体化する感覚を得る。特にジョナサンが初めて「波紋を手に乗せる」場面では、光と影のコントラストが「空気の緊張」を見える化している。
- ディオとジョースター家の対立は単なる善悪に終始せず、血の継承というメタファーを使って「宿命」のリフレクションを行う。カラー版のセリフバブルには赤いオーラが宿り、それが遺伝的な巨大な重さを視覚化する。
類書との比較
超能力バトル漫画としては『北斗の拳』や『幽☆遊☆白書』が指標になるが、『ジョジョ』は骨格的なダイナミズムと美学的な色彩の構成を融合させている。『ファントム』期の波紋は、禅の呼吸法のようにも読め、『ベルセルク』のような背筋の狩りではなく、呼吸と血流のパターンを支配する。一方で、カラー再編集された本巻は『聖闘士星矢』の聖衣の輝きと共鳴しつつも、色彩を輪郭だけでなく光の共鳴として扱う表現を試みる。
こんな人におすすめ
- 肉体の限界と精神の純化を同時に描く、哲学的なバトルを追いたい人。
- 色彩と構図による身体描写に拘るアート志向の読者。
- 血統や遺伝、認知的承認の緊張を物語の軸に据えたい読者。
感想
1巻を通じて、荒木の筆は「波紋」と「色」を使って身体を再構築し、読者に呼吸を整えさせる。ジョナサンの身体が成長するほど、線描が柔らかくなり、動きの粒度が増す。カラー版はその変化をより分節的に捉えさせ、まるでジョナサンの波紋がプリズムを通して分解されるように見える。読後、自分のリズムを呼吸とともに再配置するような感覚が残る。
- 波紋の呼吸と心拍の共鳴を描く色彩分解。
- 遺伝と宿命の対比を空間として構成する構図。
- 19世紀末の文化的背景と超能力バトルの融合。
- 今後どのようにジョースター一族が波紋の技術を継承していくかへの期待。
カラーが身体と歴史の深さを増幅する、クラシックバトルマンガの再生版。