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レビュー

概要

『はじめてさんも、あらためてさんも 料理のしくみがわかる本』は、レシピをただ増やすための料理本ではありません。炒める、煮る、焼く、あえるといった日常の調理が、なぜその手順でうまくいくのかを理解し、他の料理へ応用できるようにする本です。料理を「再現するもの」から「組み立てられるもの」へ変える発想が軸になっています。

本書が面白いのは、料理を経験や勘だけに頼らず、食材、下ごしらえ、本調理、味つけといった要素へ分けて考えさせるところです。何となくレシピどおりに作るのではなく、「ここで塩を入れる理由」「火加減を変える意味」「切り方で食感が変わる理由」が見えてきます。そのため、料理初心者だけでなく、普段作っているのに応用が利かない人にも効きます。

読みどころ

最大の読みどころは、料理を「方程式」と「スキル」で捉えているところです。たとえば、食材をどう扱うか、どの順序で火を入れるか、味をどう乗せるかを共通ルールとして理解すると、1つのレシピを覚えるだけで終わらず、似た料理へ展開しやすくなります。これは料理本としてかなり実用的で、「今日は家にこの材料しかない」が起きても慌てにくくなります。

また、本書は読むだけで終わらせず、反復して身につける姿勢を強く持っています。料理は知識だけでは上達しません。同じ切り方、同じ火入れ、同じ味見を何度か繰り返すことで、ようやく手の感覚と頭の理解がつながります。本書はその前提に立っているので、華やかな一品を量産する本より、長く台所に立つ人を育てる本に近いです。

さらに良いのは、初心者にありがちな「レシピを1文字も変えてはいけない」という緊張をほぐしてくれることです。料理のしくみが分かると、調味料の量を少し変える、火を弱める、別の野菜へ置き換えるといった判断がしやすくなります。自炊が続かない原因のひとつは、この応用のなさにあるので、本書の価値はかなり大きいです。

類書との比較

一般的な入門料理本は、写真どおりに再現するレシピ集として優秀です。ただ、数をこなしても応用しにくいことがあります。本書はその弱点を補うタイプです。1皿を増やすより「どう考えれば他でも使えるか」に重心があります。だから、料理を趣味にする前の段階で、生活の技術として身につけたい人向けです。

また、調理科学の専門書ほど難解ではないのも読みやすい点です。理屈を説明しつつも、家庭料理の現場へちゃんと戻ってきてくれます。忙しい平日の夕食づくりでも使える発想へ落としてあるので、学びがそのまま実践に結びつきやすいです。

加えて、下ごしらえや味つけを独立した技術として捉え直せるのも便利です。料理が苦手な人ほど、すべてを大きな作業として見てしまいがちですが、本書を読むと工程ごとに役割が見えてきます。どこで失敗しやすいのかも分かるので、改善の方向がはっきりします。

こんな人におすすめ

  • 新生活で自炊を始めたい人。
  • レシピどおりには作れるが、応用になると不安な人。
  • 家庭料理の基本を、理屈ごと理解したい人。
  • 子どもや家族と一緒に、料理を学びとして捉えたい人。

感想

この本の良さは、料理を失敗しないための暗記科目から解放してくれるところです。なぜこの順番なのか、なぜこの工程が必要なのかが見えるだけで、台所での不安はかなり減ります。とくに、自炊を続けたいのにレシピの数だけが増えて頭が整理できない人には相性がいいです。しくみが分かると、作れる料理の種類より「考えて作れる範囲」が広がります。

派手な時短本やバズレシピ本とは違いますが、長く効くのはこういう本だと思います。初めて料理する人の土台にもなりますし、何年も作っている人が「なぜこうしていたのか」を言葉にし直す本としても優秀です。料理をもっと自由にしたい人へおすすめできる一冊です。

家族のために毎日作る人ほど、こうした「しくみ」の理解が効いてきます。献立を考えるときも、レシピ名からではなく、今日は焼くのか煮るのか、何を主役にするのかで組み立てやすくなるからです。自炊を続けるための地力をつけたい人に向いた本でした。

料理の自由度を上げたいのに、自己流へ行くと不安になる人にも向いています。基本の理由が分かると、置き換えや調整に納得感が出るので、台所に立つ負担が少し軽くなります。

料理を覚えることと、料理を理解することは別だと実感しやすい本でもあります。毎日のごはん作りを少し楽にし、少し自由にしたい人へちょうどいい一冊です。

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