レビュー
概要
『即戦力がつくビジネス英会話 改訂増補版』は、仕事で英語が必要になった人が、単語帳や文法書だけでは埋まらない「実際の場面でどう言うか」を身につけるための本です。著者の日向清人さんはビジネス英語の実務に強く、本書も学校英語ではなく、会議、電話、交渉、プレゼン、メールといった現場を想定して作られています。
この本の魅力は、ただフレーズを並べるのではなく、場面の流れごと覚えさせるところにあります。あいさつ、確認、保留、反論、依頼、まとめといった仕事のやり取りを一まとまりで扱うため、単発の表現だけでなく、会話の組み立てごと身につけやすいです。英語を勉強しても、いざ職場で口から出てこない人には特に相性がいいと思います。
読みどころ
- まず実用的なのは、メール、電話、会議、プレゼンといった業務シーンごとに整理されている点です。場面が切り分けられているので、自分に必要なパートから始めやすく、明日使いそうな表現を先に覚える使い方ができます。英語学習を「いつか役立つ勉強」で終わらせず、業務直結で回せる構成です。
- ダイアログ形式で進むため、フレーズの意味だけでなく、どのタイミングでその言い回しを使うのかがわかりやすいです。ビジネス英語で本当に難しいのは単語よりも場の運び方なので、この順番感を学べるのは大きいです。特に電話や会議のように瞬発力が求められる場面では、この差がかなり効きます。
- 音声と組み合わせて反復できるのも強みです。ビジネス英語は目で理解しても口に出ないことが多いですが、本書は耳と口を同時に使う設計なので、実際の会話に近い形で定着しやすくなっています。独学で英会話を進めたい人にとって、この反復のしやすさは重要です。
- また、単なる英会話本ではなく、ビジネスコミュニケーションの本としても読めます。伝え方、確認の仕方、相手との距離感など、英語以前に仕事のやり取りとして大事な要素が埋め込まれているため、日本語の仕事力を英語へ移す感覚がつかみやすいです。
類書との比較
ビジネス英語の本には単語帳寄りのものや、TOEIC 対策の延長線にあるものも多いですが、本書は実務の会話を最初から前提にしています。そのため、点数を上げるための勉強より、現場で困らないための勉強に向いています。
また、最近のオンライン英会話教材は便利ですが、体系的に場面を整理して学ぶには紙の本の強みもあります。本書はその良さが出ていて、必要な表現を職場場面ごとに頭の中へ整理しやすいです。
こんな人におすすめ
- 仕事で急に英語が必要になった人
- 会議や電話でとっさに言葉が出ない人
- メールだけでなく会話の流れも身につけたい人
- 独学でビジネス英語を鍛えたい社会人
感想
この本を読んで感じたのは、ビジネス英語で必要なのは難しい単語よりも、定番のやり取りを迷わず回す力だということでした。本書はそこを徹底していて、覚えたフレーズをすぐ実務に持ち込みやすいです。英語学習の本でありながら、仕事の段取り本としても機能します。
外資系や海外営業だけでなく、オンライン会議や英文メールが日常になった今、多くの社会人に役立つ内容です。試験対策ではなく「現場で使える英語」を身につけたい人には、かなり堅実で頼りになる一冊だと思います。
特に、朝15分だけ復習してその日の会議やメールで1つ使ってみる、といった運用と相性がいい本です。まとまった勉強時間が取りにくい社会人でも、実務と結びつけながら覚えられるので、忙しい人ほど使い道があります。
IT やものづくり関連の用語・用例まで入っている点も、実務寄りの本として好印象でした。きれいな教科書英語ではなく、職場で本当に使う言い回しを増やしたい人にとって、長く手元に置けるタイプの参考書です。
英語が苦手でも、会話の型が見えてくると仕事の心理的負担はかなり下がります。本書はその型を場面ごとに渡してくれるので、実務に英語が混ざり始めた人の不安を減らす一冊としても優秀でした。
試験勉強では身につきにくい「言いよどまずに場をつなぐ力」を鍛えやすいのも本書の利点です。外資系に限らず、海外とのやり取りが少しでもある職場なら、基礎体力づくりの本として十分に役立つと感じました。
一度通読して終わりではなく、必要な章を何度も引き直す使い方にも向いています。実務の横に置いて育てる、息の長いビジネス英語本でした。
独学派にも扱いやすい一冊です。