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レビュー

概要

『退屈なことはPythonにやらせよう 第2版』は、Pythonを「学ぶため」に読む本というより、「日常業務の面倒を減らすため」に読む本です。特徴は、自動化の対象が具体的なところにあります。WordやExcel、PDFの一括処理、Webからのダウンロード、メールやSMSの送受信、画像処理、GUI操作など、仕事で遭遇しやすい“退屈な作業”を、モジュールを使って手早く片付ける流れがはっきりしています。

第2版では、GmailやGoogleスプレッドシートの操作が増補され、Pythonや周辺モジュールの更新にも追随しています。自動化の本は、環境差分で詰まりやすいので、このアップデートは価値があります。

目次が示す「基礎→実務→自分の道具へ」の設計

本書は大きく複数部で構成され、最初に基礎を固めてから、自動化の定番テーマへ進みます。

  • 第I部:Pythonの基本(1章の基礎、2章のフロー制御、3章の関数、4章のリスト、など)
  • 実務に直結する章:正規表現(7章)、Webスクレイピング(12章)、Excel操作(13章)、Googleスプレッドシート(14章)、PDFとWord(15章)、メールとSMS(18章)など

「基礎が終わったら、すぐに使える道具が増えていく」構成なので、途中から“欲しい章だけ読む”運用もしやすいです。

読みどころ

1) 正規表現が、プロジェクトとして腹落ちする(7章)

正規表現は、説明を読んでも使えるようになりにくい分野です。本書は、電話番号と電子メールアドレスを抽出するプロジェクトを置き、実務で起きる「テキストが汚い」状況へ寄せます。パターンを作るだけでなく、抽出した結果をどう扱うかまで含めて理解できます。

2) 「Webから取る」を手順で学べる(12章)

自動化の現場では、社内システムだけで完結しません。Webからのダウンロードが必要になることがあります。12章では、requestsでページを取り、HTMLを読み、必要なものだけ抜く流れを段階で追えます。Webコミックのダウンローダーのように、対象を見つけて保存するプロジェクトもあり、手を動かすと作業の型が残ります。

3) ExcelやPDFが、業務の中心に戻ってくる(13章・15章)

Pythonで仕事をするうえで避けづらいのが、ExcelとPDFです。13章では、OpenPyXLを使ったExcelの読み書きが入り、スプレッドシートからデータを読み込む、更新するといったプロジェクトで実務に繋がります。15章はPDFとWordで、テキスト抽出、暗号解除、結合、招待状の生成、WordからPDF生成など、現場で“やりたくなる”処理が並びます。

4) Gmail APIとSMSで、通知まで自動化する(18章)

自動化は「作る」だけでは終わりません。運用には通知が必要です。18章では、Gmail APIで送受信や検索を扱い、さらにTwilioでSMSを送る流れも登場します。会費のリマインダーを送るプロジェクトなど、業務の最後の一手を詰める感覚が出ます。

5) 共有できる“実行ファイル化”まで視野に入る(付録)

自作スクリプトを周囲へ渡すときに詰まりやすいのは、「相手のPCにPython環境がない」という点です。日本語版オリジナルの付録では、PyInstallerによる実行ファイル作成を扱います。自動化を“個人の小技”で終わらせず、チームで使える道具へ寄せる導線が用意されています。

感想

この本を読んで良かったのは、自動化を「万能の近道」として売らないところです。むしろ、退屈な作業を具体的に列挙し、処理を小さな部品へ分解し、モジュールの力を借りて組み上げる。現実的な道筋を示します。

読み進めるほど、「自分の職場の退屈はどこにあるか」を探す目が育ちます。Excelの集計、PDFの結合、Webからの取得、メールの定型送信。小さな改善でも、毎日繰り返すなら効果は大きい。本書は、その“効くところ”に手が届く作りになっています。

最初の一歩としては、Excel(13章)かPDFとWord(15章)から試すと成果が出やすいです。

こんな人におすすめ

  • ExcelやPDF、Web、メールなど、日々の雑務を減らしたい人
  • Pythonを学びながら、同時に実務の道具を増やしたい人
  • 自作ツールを、実行ファイル化して共有したい人

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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