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レビュー

概要

『思春期の子と心の距離を感じたときにできる大切なこと』は、反抗的、無口、何を考えているかわからない、と感じる思春期の子どもとの関係をどう立て直すかを考える本です。著者の大塚隆司さんは、思春期の子どもとのコミュニケーションに長く向き合ってきた人で、本書は親を責めるよりも、まず「何が距離を広げてしまうのか」を整理してくれます。

この本のよさは、思春期を「扱いづらい時期」と決めつけず、子どもが自立へ向かう途中で揺れている時期として見るところにあります。親の正しさや愛情がそのまま届くとは限らない難しさを認めつつ、だからこそ何を言わないほうがいいか、どんな順番で関わるべきかを具体的に示してくれます。感情的な応酬が増えて疲れている親にとって、かなり実践的な本です。

読みどころ

  • まず印象に残るのは、「子どものために」が子どもを窮屈にしてしまう場面を丁寧に扱っている点です。親は善意で言っているのに、子どもには監視や支配として響いてしまうことがあります。本書はそこを、親の愛情不足ではなく、関わり方のズレとして整理してくれるので、読んでいて必要以上に追い詰められません。
  • 具体的な言葉かけの修正に踏み込んでいるのも強みです。感情的に反応する前に少し待つこと、すぐ結論を押しつけないこと、会話の主導権を奪いすぎないことなど、現場で本当に困るポイントに対して実践的な助言があります。以前にこの本を引用した記事でも触れましたが、いわゆる「3秒待つ」ような反応のズレを減らす考え方は、親子の衝突をかなり減らしうると感じます。
  • また、本書は子どもの問題だけでなく、親の疲れにも目を向けています。思春期の子育ては、乳幼児期とは違う種類のしんどさがあり、正解が見えないまま消耗しやすいです。本書は親が60点でよしとするような現実的な姿勢にも通じていて、完璧な対応より、関係を壊さないことを優先させてくれます。
  • 後半では、親だけで抱え込まないことの大切さにも触れています。学校、支援機関、家族内の連携など、外部とのつながりを持つ視点が入ることで、家庭内の空気が煮詰まりにくくなります。思春期の本として、心理論だけで終わらないところが実用的です。
  • もう1つ実用的なのは、子どもの言動をすぐ性格の問題と決めつけないことです。無視された、反発された、話してくれない、という出来事だけを見ると親は強く傷つきます。ただ、本書はその背景にある不安、自立への揺れ、言葉にしにくい恥ずかしさも視野に入れます。親が原因探しに走りすぎず、まず状況を観察する姿勢へ戻れるのは大きな助けになります。

類書との比較

思春期の本には、子どもの心理を解説するものと、親の接し方を助言するものがありますが、本書はその両方のバランスがいいです。理屈だけでもなく、テクニックだけでもなく、「この時期に何が起きているか」と「親はどう反応を変えるか」がつながっています。

また、強い管理や厳しさを勧める方向ではなく、距離を取りすぎず近づきすぎずの感覚を重視している点も現代的です。親子関係を勝ち負けにしない本として、安心して読める一冊でした。

こんな人におすすめ

  • 思春期の子どもと会話が減って苦しい親
  • 言えば言うほど関係がこじれると感じている人
  • 反抗期を力で抑え込まずに乗り切りたい人
  • 学校や支援機関と連携しながら関わりたい保護者

感想

この本を読んでよかったのは、思春期の子どもとの距離を、愛情の有無ではなく、関わり方の設計として見直せたことでした。親が正しいことを言っていても、タイミングや言い方で届き方は大きく変わります。本書はそのズレを減らすヒントをかなり具体的にくれます。

思春期の子育ては成果が見えにくく、親の自己嫌悪も強くなりがちです。だからこそ、本書のように「まず関係を壊さない」「完璧を目指さない」と整理してくれる本は貴重です。親子関係を一度立て直したい人にすすめやすい、実務的な子育て本でした。

思春期は、親にできることが減っていく時期でもあります。その現実を受け入れたうえで、ゼロか百かで考えないことが大切です。本書は、「今つながりを切らさないために何をするべきか」を考える視点をくれます。子どもを変える技術というより、親の構えを整えることで関係の悪化を防ぐ本として信頼できます。

進学、友人関係、スマホ、生活リズムなど、思春期は親が口を出したくなる論点が増える時期でもあります。そのたびに正論で押し切ろうとすると関係は消耗しやすいので、本書のように「介入の強さを調整する」視点を持てるのは大きいです。家庭の空気を戻したい親にとって、かなり現実的な支えになる本でした。

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