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レビュー

概要

『Learn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』は、学びを気合いや根性ではなく、科学的に設計し直す本です。著者はアーリック・ボーザー。本書は、目標、モチベーション、練習、振り返り、環境、他者との学び合いといった要素を6つのステップとして整理し、「学習がうまくいく人は何をしているのか」を分かりやすく説明します。

学習法の本は特定のメソッドを推しがちですが、本書はもっと広いです。暗記法だけでも、集中術だけでもなく、そもそも何を目標にし、どう失敗し、どう修正するかまで見ています。そのため、受験勉強にも、プログラミング学習にも、仕事の学び直しにも応用しやすいのが特徴です。

読みどころ

まず面白いのは、学びを「情報を増やすこと」ではなく、「理解と運用の質を上げること」として扱っている点です。本書では、ただ読んだり聞いたりするだけでは足りません。自分で思い出す、説明する、試す、間違える、修正するといったプロセスが大切だと繰り返されます。受け身の学習がなぜ伸びにくいのかが腹落ちしやすいです。

次に実用的なのが、目標設定の細かさです。大きな目標だけを掲げると、途中で迷いやすくなります。本書は、何を理解したいのか、何ができるようになりたいのかを具体化し、小さな確認ポイントへ分けることを勧めます。この考え方は、資格勉強にも、語学にも、長期プロジェクト型の学習にもかなり効きます。

また、失敗や間違いの扱いが前向きなのも良いところです。学びの本なのに、うまくできる方法だけではなく、つまずくことの意味をきちんと扱っています。間違えたときにすぐ答えを見るのではなく、少し考え、なぜ間違えたかを確かめる。そのほうが長期記憶や応用力につながるという説明は、学習経験がある人ほど納得しやすいはずです。

さらに、学びを個人の努力だけにしない点も印象的でした。本書は、仲間と学ぶこと、他人に説明すること、フィードバックを受けることの価値をかなり重く見ます。1人で黙々と続けるのが偉いのではなく、学習環境をどう作るかが成果を左右する。この視点は、独学に行き詰まっている人に特に役立つと思います。

類書との比較

勉強法の本には、記憶術やノート術のように技法へ寄ったものが多いです。本書はそれらより一段広く、学び全体の設計を扱います。そのため、すぐ使える小技を求める人には遠回りに見えるかもしれませんが、長期で効くのはむしろこちらだと感じました。

また、習慣化本と比べても、本書は「続ける」だけではなく、「どう学べば深く身につくか」を見ています。毎日机に向かうことはできても、成果が実感できない人には特に相性がいいです。

こんな人におすすめ

勉強しているのに手応えが薄い人におすすめです。資格試験、語学、プログラミング、読書、仕事の学び直しなど、分野を問わず使えます。特に、時間は使っているのに、やり方に自信が持てない人には向いています。

また、学習支援に関わる人にも役立ちます。先生、研修担当、家庭教師、マネージャーなど、人に教える立場の人が読むと、フィードバックや課題設計の見直しにもつながります。学びを「本人のやる気次第」で終わらせたくない人におすすめです。

加えて、新しい分野を独学で学び直している社会人にも向いています。忙しい中で勉強時間を確保している人ほど、量よりも学習設計の差が効くことを実感しやすいはずです。

特に、読んでいるのに覚えられない、練習しているのに伸びないという停滞感がある人には相性がいいです。勉強量より手順を見直す発想が持てます。

感想

この本を読んで良かったのは、学びを「才能」ではなく「設計」の問題として見直せたことでした。うまくいかないと、自分に向いていないと思いがちですが、本書は、目標の置き方、練習の仕方、振り返りの質で結果はかなり変わると示します。この視点があるだけで、学習への向き合い方が前向きになります。

もう1つ印象的だったのは、学びの共同体を重視していることです。1人で頑張るだけが学習ではありません。説明や共有、フィードバックを通じて理解が深まります。その仕組みまで含めて学習法を考えたい人には、かなり使える一冊です。章ごとに自分の学び方を点検しやすいので、読後すぐに勉強計画へ反映しやすいのも利点でした。独学に役立ち、チームで学ぶ場にも応用できる骨太な学習科学の本だと思いました。

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    佐々木 健太

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