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レビュー

概要

『はじめて英語で日記を書いてみる』は、英語学習を「覚える」中心から「自分のことを表現する」中心へ切り替えたい人に向いた入門書です。英語日記というと、書きたいことはあるのに単語が出てこない、文法が合っているか不安で手が止まる、何日かで続かなくなる、という壁がつきものです。本書はその壁を見越して、短い文から始めること、よく使う表現を型として持つこと、毎日完璧に書こうとしないことを前提に設計されています。

本書の価値は、英作文の教材でありながら「書ける量を増やす」だけを目的にしていないところにあります。日記を書く行為を通じて、自分の生活を英語で切り取る習慣を作り、語彙、時制、感情表現、出来事の整理を少しずつ身につけていく。そのため、試験向けの英作文とは違い、日々の小さな出来事をどう英語にするかという実感に近い学びが得られます。アウトプット習慣を作る最初の1冊としてかなり使いやすい本です。

読みどころ

いちばんの読みどころは、「何を書けばよいか分からない」という初心者のつまずきをかなり丁寧に潰していることです。英語日記の本は、書くこと自体を勧めるだけで、実際にどこから始めるかが曖昧なものもあります。本書は、天気、食事、家族、気分、その日にあったことなど、日記にしやすいテーマを切り分け、使いやすい基本表現を示してくれます。これによって、ゼロから文章をひねり出す負荷がぐっと下がります。

また、難しい内容を書こうとしなくてよいと教えてくれる点も重要です。英語学習では、少しでも高度な文を書こうとして途中で止まりがちですが、本書はまず「短く、正確に、続ける」ことを優先します。今日は疲れた、子どもが熱を出した、会議が長かった、夕食がおいしかった。そうした日常の断片を英語にするだけでも、主語、時制、形容詞、接続の感覚が確実に鍛えられます。この実務的な割り切りが、独学ではかなり助かります。

さらに、日記は書く力だけでなく、話す力の準備にもなることがよく分かります。自分の出来事や感情を英語で表す練習を重ねると、オンライン英会話や英語面接の場でも言葉が出やすくなるからです。本書はその橋渡しになる本で、丸暗記型のフレーズ集とは違い、自分の経験に結びついた表現が残りやすいです。英語を生活に近づける感覚がつかめます。

加えて、書きっぱなしで終わらせず、見直しや言い換えの視点を持たせてくれるのもよいところです。日記は量を積めばよいというものではなく、少しずつ表現を磨いていくことで力になります。本書には、初心者が言い換えや表現の広げ方を意識するきっかけがあり、学習が単純作業になりにくいです。継続の仕組みが組み込まれているので、習慣化との相性もいいです。

類書との比較

英作文の本には、和文英訳の問題集や瞬間英作文のように反射的な出力を鍛える教材があります。それらに比べると、本書はもっと生活に密着しています。正解が1つに決まる問題を解くのではなく、自分の1日をどう英語で切り取るかを考えるので、英語を「使う」感覚が育ちやすいです。

また、日記系の学習本の中には、モチベーション重視で具体的な表現サポートが弱いものもあります。本書はその逆で、実際に書き出せる型や語彙が用意されているため、習慣化の一歩目が軽いです。英語学習法が散らかっている人にとって、毎日の土台を作る教材としてかなり優秀だと思います。

こんな人におすすめ

  • 英語を読んだり聞いたりはしているが、自分のことを英語で書く機会がほとんどない人。
  • 英作文が苦手で、何を書けばよいか分からず手が止まる人。
  • オンライン英会話や英語面接に向けて、日常表現を増やしたい人。
  • 学習習慣を整えるために、毎日少しずつ続けられる教材が欲しい人。

感想

この本のよさは、英語日記を意識高い訓練にせず、日々の小さな記録として定着させやすいところです。完璧な英文を書くことより、今日の自分を英語で表してみることに価値を置いているので、続ける心理的ハードルが低いです。読むだけの学習から、少しでも自分の言葉を出す学習へ移りたい人にはかなり相性がいいと思います。独学の立て直しに使いやすく、アウトプットの最初の足場として勧めやすい一冊でした。数行でも毎日書く習慣が、英語を受け身の知識から生活の言葉へ変えてくれます。話す前の準備運動としても優秀で、あとから効いてくるタイプの教材です。書く内容に迷いがちな人ほど、効果を早く実感しやすいはずです。継続の入口として堅実です。再入門にも向きます。

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    佐々木 健太

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