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レビュー

概要

『ハチミツとクロ-バ- 1』は、いわゆる青春恋愛の枠に収まらない、大学生の「未完成さ」がそのまま残る漫画です。 私はこの1巻を読むと、楽しいはずの時間なのに、どこか落ち着かない感じがするんですよね。 理由はシンプルで、登場人物たちがみんな優しいのに、優しさだけではうまくいかない場面がちゃんと出てくるからです。

舞台は美大です。 でも、芸術の知識がなくても大丈夫。 この作品が描いているのは、才能の話というより、好きなものを続ける体力や、好きな人に向き合う勇気の話だと思いました。

読みどころ

1) 「好き」がバラバラなまま同居している

恋の好き、作品の好き、友だちの好き。 同じ好きでも、温度が違います。 私はこの作品の良さって、そのズレを綺麗にまとめないところだと思いました。 大人になると、気持ちを合理的に整えてしまいがちです。 でも大学生の頃って、気持ちの整え方が分からないまま走りますよね。 その感じがすごくリアルです。

2) 笑えるのに、急に胸が締まる

基本はわちゃわちゃしています。 でも、ふとした一言で空気が変わる。 私はこの切り替えが上手い作品って、何度も読み返してしまいます。 笑いで距離を取っていたのに、気づいたら本気で心配している。 そういう読み方になる1巻です。

3) 「才能」と「生活」が同じ部屋にある

美大の話って、キラキラに寄りやすいです。 でもこの作品は、生活の泥くささも一緒に描きます。 何を作るか、どう生きるか。 将来がぼんやりしている時期の不安が、無理なく混ざってきます。

本の具体的な内容(ネタバレ控えめ)

1巻では、仲の良いメンバーの関係性が立ち上がっていきます。 誰がどんなテンションで、どこに弱さがあるのか。 私は、最初はコメディとして読めるのに、読み進めるほど「この人はここが苦しいんだな」と見えてくる感じが好きでした。

恋愛漫画として読むと、甘さよりも、片思いの不器用さが目立ちます。 それが、この作品の温度です。 大げさに泣かせに来ないのに、じわっと残る。 私はこの余韻が、タイトルのやわらかさと合っていると思いました。

登場人物の魅力(誰か1人に刺さる)

この作品って、全員がどこか未完成で、そこが愛おしいです。 私は、読んでいて「この人みたいになりたくない」より「分かる」が先に来ました。 明るく振る舞う人ほど不安を抱えていたり、器用に見える人ほど気持ちが置き去りだったりします。 そういう揺れが、ギャグの裏側にふっと見える。 私はそれが、青春ものの強さだと思いました。

美大ものとしての面白さ

美大の話は専門用語で置いていかれそう、と感じる人もいると思います。 でも本作は、技術の説明より「作ることが生活にある」感じを描きます。 締め切り、課題、制作のテンション。 やる気がある日とない日が同居する。 私はそのリズムが、学生時代の現実っぽくて好きでした。

合う人・合わない人

合うのは、青春ものが好きだけど、甘すぎる恋愛は苦手な人です。 あと、笑える作品を読みたいのに、最後はちゃんと心が動く。そういう作品が好きな人にも合います。 私は「軽い気持ちで読み始めたのに、思い出が引っ張り出される」タイプの漫画だと思いました。

逆に、1巻の時点で大きな事件が欲しい人には、少しゆっくりに感じるかもしれません。 ただ、そのゆっくりさが後で効いてきます。

読み方のコツ

私は、作中のセリフを急いで消費しないほうがいいと思いました。 軽く流せば笑いで終わります。立ち止まれば、刺さる言葉が多いです。 1回目は普通に読んで、2回目で気になる場面だけ拾う。 この読み方がいちばん楽しいです。

読後にやると楽しいこと

私は読み終えたあと、登場人物ごとに「この人の焦りは何だったか」を考えると、余韻が深くなると思いました。 恋の焦りなのか、将来の焦りなのか、友だち関係の焦りなのか。 答えが1つじゃないから、読むたびに見え方が変わります。 それが、この作品が長く愛される理由の1つだと思います。

読むタイミング

春に読むと気分が合います。 新しい環境の落ち着かなさと、作品の空気が重なるからです。 逆に、ちょっと疲れているときにもおすすめです。 キャラクターたちの距離感が、優しいからです。

注意(刺さりすぎる日もある)

この作品は明るいのに、やさしく刺さります。 自分の過去を思い出してしんどくなる日もあると思います。 そういうときは、無理に読み進めなくて大丈夫です。 私は、元気な日に読むほうが楽しめると感じました。

感想

私は『ハチミツとクロ-バ- 1』を読むと、「若いって、自由だけど怖いよね」と思います。 選択肢が多いほど、決められない。 決められないまま、人を好きになってしまう。 そういう不器用さを、笑いとやさしさで包んでくれる1巻でした。

読み終えたあと、いちばん残ったのは「自分も誰かの青春を通り過ぎてきた」という感覚です。 だから私は、この作品を“懐かしい”だけで終わらせたくありません。 いまの自分の気持ちにも、ちゃんと効いてくる漫画だと思います。

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    佐々木 健太

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