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レビュー

概要

『チーム・テスならだいじょうぶ』は、中学2年で転校してきたテスが、友だちとの関係づくりとクローン病という慢性疾患の両方に向き合う青春物語です。版元紹介では、テスは手作りお菓子を配ることで友だちを作り、焼き菓子づくりコンテストへ挑戦していく一方、頻繁に襲う腹部の激痛に耐えられなくなっていくと説明されています。学校生活の不安と病気の現実が同時に進む。そこが本書の大きな特徴です。

医療をテーマにした物語ではありますが、病気の説明だけで終わる本ではありません。タイトルにある「チーム・テス」は、友だちだけを指すわけではなく、体を支える医療チームへの信頼ともつながっています。他者の助けを借りることを恥ではなく力として描く姿勢が、一貫していてとてもよいです。

読みどころ

第一の読みどころは、転校生のテスが友だちを作る導入の自然さです。得意の手作りお菓子を分けて距離を縮めていくという設定が、のちの焼き菓子コンテストともきれいにつながります。テスが何者なのかを、説明ではなく行動で見せる始まり方です。病気の話に入る前から、彼女の工夫や不安が伝わってきます。

第二の読みどころは、クローン病の扱い方です。版元紹介では、クローン病は完治させる方法が見つかっていない難病だと明記されています。本書はその事実を隠しません。ただし、病気を主人公の全体像にしてしまうのでもありません。腹痛、通院、医療チームへの信頼、やりたいこととの両立という具体的な場面を通して、慢性疾患と共に生きるとはどういうことかを描いていきます。

第三の読みどころは、友情と医療支援が並列で描かれている点です。チーム・テスは、学校の仲間が作る応援の輪であり、同時に体を支える人たちへの信頼の感覚でもあります。クローン病のような見えにくい病気では、本人のしんどさが周囲に伝わりにくいことがあります。本書はその難しさを踏まえながら、助けを借りることが弱さではないと伝えます。

本の具体的な内容

物語は、テスが転校先でうまく居場所を作ろうとするところから始まります。得意な焼き菓子づくりをきっかけに友だちができ、コンテストへ向かう流れには、青春小説としての楽しさがあります。手作りのお菓子が人間関係の入口になり、やがて自分の強みとして育っていく。この流れだけでも十分に読ませます。

しかし、その裏でテスの体には別の問題が起きています。紹介文にある「ひんぱんに襲ってくる腹部の激痛」は、物語の空気を一変させる要素です。楽しい場面の裏で、本人だけが耐えている苦痛がある。ここに、見えにくい病気のつらさが表れています。外からは元気そうに見えても、体の中では別の戦いが進んでいる。この二重性を、児童文学として読みやすく描いているのが本書のうまさです。

さらに重要なのは、作者クイン・ワイアット自身が人生の大半をクローン病とともに生きてきたという事実です。版元紹介でも、本作が彼女の個人的な経験をもとにしていると説明されています。そのため、病気の描写には外から眺めた説明ではなく、生活の手ざわりがあります。友だちにどう伝えるか、どこまで助けを借りるか、やりたいことをあきらめずに続けられるか。そうした問いが物語の中へ自然に組み込まれています。

類書との比較

病気を扱う児童文学には、重いテーマを正面から押し出す作品もあれば、友情や冒険を中心にしながら背景に病気を置く作品もあります。本書はその中間にあります。クローン病を軽く扱わない一方で、病気だけが主人公ではない。焼き菓子づくり、友だちとの交流、コンテストへの挑戦が並走することで、読者はテスを1人の魅力的な人物として受け取れます。このバランスがとてもよいです。

こんな人におすすめ

慢性疾患や見えにくい病気を扱う児童文学を探している人におすすめです。学校生活と体調の両立に関心がある読者、病気のある子どもの気持ちを理解したい大人にも向いています。また、友情やコンテストものが好きな読者にも入りやすいはずです。病気の啓発本ではなく、物語として読める本を探している場合にとても相性がよいです。

感想

この本を読んでよかったのは、クローン病を「かわいそうな事情」にしないところでした。もちろん、腹部の激痛や完治しない現実は重いです。けれど本書は、テスの病気を彼女の全部にはしません。お菓子づくりが好きで、友だちがほしくて、応援されるとうれしい1人の中学生として描き続けます。

特に印象に残ったのは、「他者の助けを借りることの重要性」をまっすぐ伝えている点です。1人で頑張ることだけが強さではない。友だちの支えも、医療チームの支えも、自分の人生を前へ進める力になる。本書はそのことを、説教ではなくテスの毎日を通して伝えてくれます。医療テーマの物語としても、青春小説としても、かなり良い一冊でした。

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    佐々木 健太

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