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レビュー

概要

『筋トレの“常識”を変える! 鈴木雅のトータルボディメイク』は、筋トレを単なる根性論や種目の寄せ集めではなく、体を整える順番まで含めて学ぶための本です。ボディビル世界王者としての実績を持つ鈴木雅氏が、コンディショニング、ストレングス、部位別トレーニング、食事、休養までを一冊でつなげています。見た目づくりだけでなく、再現性のある体づくりを目指す人向けの実用書です。

本書の価値は、いきなり重い重量を扱う前に、姿勢、呼吸、可動域、安定性といった土台を整える重要性を前面に出しているところです。筋トレ本は「何キロ上げるか」「どの種目が効くか」に話が寄りがちですが、本書はそもそもその体で安全に効かせられるのかを問います。この順番の違いが、伸び悩みや痛みを抱える人にはかなり大きいです。

読みどころ

読みどころは、第1にコンディショニングを軽視していない点です。筋トレ初心者も中級者も、フォームが崩れる理由を「意志の弱さ」ではなく、姿勢や動きの癖として考えられるようになります。呼吸、モビリティ、スタビリティ、運動学習と段階を追って整えていく発想があるので、筋トレで成果が出ない原因を、重量不足だけで片づけずに見直せます。

第2に、BIG3や部位別トレーニングを全体設計の中へ置いているのも強みです。胸、背中、脚、肩、腕、腹といった各部位を鍛える話だけでなく、何を優先し、どこで負荷を上げ、どう回復させるかまで流れで理解できます。単発の種目紹介ではなく、トレーニングを続ける前提で組まれているので、長く使える本になっています。

第3に、食事と休養を脇役にしていない点もよかったです。筋トレ本の中には、食事が簡単な付録のように扱われるものもありますが、本書は体づくりを生活全体の設計として考えています。増量、減量、糖質との付き合い方、休養の重要性まで含めているので、「トレーニングはしているのに変わらない」という人にとって気づきが多いはずです。

特によいのは、肩や股関節、体幹がうまく使えていない人ほど、いきなり高重量へ進まないほうがよいと自然に理解できることです。ベンチプレスやスクワットで記録だけを追うと、効かせたい部位より先に関節や腰へ負担が集まりがちです。本書は、そうしたズレを「才能がない」で済ませず、整える順番の問題として見直させてくれます。

類書との比較

一般的な筋トレ本は、種目数の多さや短期的な見た目の変化を前面に出すことがあります。本書はそれに比べると派手さは控えめですが、土台から積み上げる設計が明確です。フォームや関節の使い方を無視して負荷だけ上げるタイプの本とはかなり性格が違います。

また、ボディメイク本とスポーツトレーニング本の中間に位置するような内容でもあります。見た目づくりだけに閉じず、体の使い方や回復まで視野に入れているため、コンテスト志向でなくても十分役立ちます。逆に、「とにかく短期間で痩せたい」といった即効性だけを求める人には少し地道に感じるかもしれません。

こんな人におすすめ

筋トレを続けているのに伸び悩みを感じる人、フォームや姿勢の崩れが気になる人、自己流から一段整理されたやり方へ進みたい人に向いています。ジム通いを始めたばかりの人にも役立ちますし、痛みを避けながら長く続けたい人にも相性がいいです。

逆に、モチベーションを上げるだけの読み物や、極端なダイエット法を求める人には少し真面目です。本書は派手な近道より、長く積み上がるやり方を重視する本です。

感想

この本を読んでよかったのは、筋トレの成果が出ない理由を「もっと頑張れ」で済ませなくなったことです。伸びない、効かない、痛いという問題の裏に、呼吸、姿勢、可動域、回復の不足があると考えられるだけで、取り組み方がかなり変わります。重さより順番を見直す発想は、自己流で遠回りしてきた人ほど刺さるはずです。

また、元世界王者の本でありながら、上級者だけの特殊な内容になっていないのもよかったです。読者を煽るより、土台から整理し直すための視点を手渡してくれる。筋トレを一時的なイベントで終わらせず、生活の中で続ける技術として学びたい人には、かなり実用的な一冊でした。

実際の使い方としては、最初から全部を真似するより、自分が最近伸び悩んでいる種目を1つ決め、その原因を本書の観点で洗い直す読み方が向いています。呼吸、足裏、骨盤、肩甲骨、回復のどこが抜けているかを確認するだけでも、練習の質はかなり変わります。長く安全に強くなりたい人にとって、繰り返し参照できる本でした。

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    佐々木 健太

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