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レビュー

概要

『世界一やせる走り方』は、ランニングで効率よく体脂肪を落としたい人に向けた実用書です。タイトルからは根性論のダイエット本を想像しやすいですが、実際はむしろ逆で、「つらすぎる走り方は続かないし、結果も出にくい」という立場から組み立てられています。無理な距離やスピードではなく、やせやすい強度、フォーム、習慣化の仕方を考える本です。

ランニングは道具が少なく始めやすい反面、自己流のまま続けると、やせる前に膝や足を痛めたり、疲れるだけで終わったりしやすい。本書はそこを避けるために、走ることを「我慢比べ」ではなく「体を変える技術」として扱います。やせるために走るというテーマに絞っているぶん、初心者でも目的を見失いにくい点が良いところです。

本書が扱うのは、マラソン大会で記録を狙うための走り方ではありません。あくまで「脂肪を落としたい」「体を軽くしたい」「運動習慣をつけたい」という生活者の目的に合わせたランニングです。そのため、専門用語を増やすより、なぜその強度が続きやすいのか、なぜ呼吸や姿勢が大切なのかを、日常感覚に寄せて説明してくれます。

読みどころ

  • 読みどころの1つは、「走ればやせる」ではなく「どう走ればやせやすいか」を明確にしている点です。ダイエット目的のランニングは、ただ長く走ればいいわけではありません。本書は、走る強度やペースの考え方を整理し、苦しすぎない範囲で継続することの重要性を繰り返します。初心者が最初に知るべきポイントが押さえられています。
  • もう1つは、走り方そのものへの目配りです。フォームが崩れていると、余計な疲労がたまり、習慣化しにくくなります。本書は、やせるためのランニングを、単なる有酸素運動ではなく、体の使い方の改善としても捉えています。だから、走り方を変えることでラクに続けられる感覚がつかみやすいです。
  • さらに、本書は食事や休養との組み合わせも意識されています。ランニング本の中には練習メニューに偏るものもありますが、本書は「走ったあとどうするか」「続けるために何を避けるか」にも目を向けます。ダイエットは運動だけで完結しないので、この視点はかなり実用的です。
  • もう少し細かく言うと、本書は「走れた日」より「また走れる状態で翌日を迎える」ことを重視している印象です。これは初心者向けダイエット本としてかなり重要です。追い込みすぎて三日坊主になるより、少し物足りないくらいで積み上げるほうが、結果として脂肪は落ちやすいからです。

類書との比較

マラソン完走や記録更新を目指すランニング本と比べると、本書は目的がはっきりしています。タイムを縮めるためではなく、体脂肪を落とし、継続しやすい走り方を身につけるための本です。だから、競技者向けの専門書ほど細かいトレーニング論はありませんが、そのぶん一般の読者には入りやすいです。

また、ウォーキング本や食事制限の本と比べると、本書は「走ることで代謝を上げる」方向に強みがあります。ただしハードな走り込みを勧めるわけではなく、続くやり方に寄せているので、運動経験が少ない人でも使いやすい。ランニング入門とダイエット実用書の中間にあるような一冊です。

一方で、フォーム解析やレース期の練習計画まで知りたい人には物足りないでしょう。そこは目的の違いです。本書は競技者の本ではなく、運動を生活に戻したい人の本として読むと価値がはっきり見えます。

こんな人におすすめ

  • ダイエットのためにランニングを始めたい人
  • 走ってもなかなかやせないと感じている人
  • きつすぎる運動は続かない人
  • 走る習慣を無理なく生活に組み込みたい人

感想

この本を読んでよかったのは、「やせるために走る」とは、無理にたくさん走ることではないと整理できたことです。ランニングは始めた直後ほど張り切りすぎて失敗しやすい。距離を伸ばしすぎる、速く走りすぎる、食事とのバランスを崩す。本書は、そのありがちな失敗を避けながら、続く形に調整する発想をくれます。

実践してみた結果、やせるためのランニングで大事なのは、意志の強さより「また走れる状態で終えること」だと感じました。疲れすぎると次が続きません。本書はその点で、ダイエット目的の運動をきちんと長期戦として捉えています。効果で考えると、短期で追い込むより、適切な強度で何週間も積み上げるほうが勝ちやすいです。

ランニングが好きな人だけの本ではなく、走るのが得意ではない人にも向いています。やせるために何となく走っている人、そろそろ自己流から抜けたい人にとって、本書はかなり使いやすい入口になります。

個人的には、ダイエット本にありがちな「頑張れる人だけが成果を出す」という空気が薄い点も好印象でした。走ることを特別な挑戦ではなく、習慣として生活に置き直す。その視点があるから、読むほどハードルが上がるのではなく、むしろ始めやすくなります。走り始めたいのに腰が重い人ほど合う本です。

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    佐々木 健太

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