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レビュー

8週間のMBCTを「ワークショップの再現」として体験できるワークブック

『マインドフルネス認知療法ワークブック』は、マインドフルネス認知療法(MBCT)の開発者らが行うワークショップを、オリエンテーションからエクササイズ、Q&A、ホームワークまで再現した本です。本文の解説に加えて、付属CD-ROM(MP3)の音声ガイドに沿って瞑想を実践し、ワークブック形式で振り返ります。読むだけで終わらせず、体験を積む前提が徹底されています。

内容紹介には、参加者の声と対話を多数紹介するとあります。ここが大きい。実践系の本だと、読者がつまずくポイントは見えにくいことがあります。参加者の声があると、うまくいかないのは自分だけでもないと分かります。挫折が減ります。

第Ⅰ部で土台を作り、第Ⅱ部で週ごとの練習へ入る

もくじは分かりやすいです。第Ⅰ部は基礎で、第1章「ようこそ」から始まり、第2章でうつ、不幸感、感情的苦痛を扱います。巻き込まれる理由を説明し、第3章で「すること」と「あること」とマインドフルネスを整理します。準備の章もあるので、勢いだけで始めるのを防げます。

第Ⅱ部が8週間プログラムです。第1週は自動操縦を超える。第2週は別の知る方法。第3週は現在に戻る。第4週は嫌悪を認める。第5週はあるがままに受け入れる。第6週は思考を思考として観る。第7週は活動の中の思いやり。第8週はこれからどうする。週ごとにテーマが立っているので、実践の焦点がぼけません。

音声ガイドが具体。レーズン、ボディスキャン、3分間呼吸空間法まで揃う

付属音声のリストが丁寧です。ようこそ、レーズンエクササイズ、ボディスキャン、呼吸のマインドフルネスの静座、マインドフル・ムーヴメント、ストレッチと呼吸、マインドフル・ウォーキング、3分間呼吸空間法(標準版と拡張版)、20分間静座、困難に働きかける瞑想、ベルなどが収録されます。独学の難所は、練習を続けられないことです。音声があると、手順が固定されます。固定されると続きます。

また、3分間呼吸空間法は複数収録されています。短い実践は日常へ入れやすい。落ち込みや不安の入り口は、日常の小さな反応から始まります。短い実践があると、早い段階で立て直しやすくなります。

週ごとのテーマが「症状の議論」ではなく「関わり方の更新」になっている

週のタイトルが良いです。

  • 自動操縦を超える
  • 別の知る方法
  • 現在に戻る
  • 嫌悪を認める
  • あるがままに受け入れる
  • 思考を思考として観る
  • 活動の中の思いやり
  • これからどうする

どれも、気分を良くする方法ではありません。巻き込まれ方を変える方法です。

例えば「嫌悪を認めること」は、避けたい感覚を否定しない練習です。否定すると反応が強まります。強まると苦痛が増えます。だから、認める。認めたうえで距離を取る。そういう順番が見えます。

「活動の中の思いやり」も重要です。瞑想は座っている時間だけで完結しません。日常で自分へどう声をかけるかが変わります。ここが変わると、再発につながりやすい反応の連鎖が弱まります。本書はその方向へ導きます。

類書比較:理論書より「実践の伴走」に寄っている

MBCTの理論を学ぶ本は、理解が深まります。一方で、理解しただけでは練習が続きません。本書は伴走型です。週ごとに進み、音声で実践し、書き込みで振り返る。体験と振り返りをセットにすることで、気づきが定着しやすい構造です。

また、ストレス低減法の古典は、瞑想の体系を示します。本書はそれに加えて、うつや感情的苦痛の文脈で「巻き込まれ」から離れる練習へ寄せます。目的が明確なので、練習の意味を見失いにくいです。

こんな人におすすめ

  • マインドフルネスを、読むだけでなく実践として続けたい人
  • 8週間の流れとホームワークを、手元で管理したい人
  • 感情の波に巻き込まれやすく、短い実践を日常に入れたい人

実践の本なので、軽く読むだけでは価値が出にくいです。けれど、8週間を走るためのガイドとしては、かなり信頼できるワークブックだと思いました。

ただし、気分が大きく落ち込む時期は、独学で抱え込みにくい場面もあります。必要に応じて専門家や支援へつなぎながら、ワークブックを使うほうが安全です。

使い方:週のテーマを「生活の場面」に結びつけると続く

週ごとのテーマは、読んで終わると抽象に見えます。続けるコツは、生活の場面へ当てることです。例えば自動操縦は通勤や家事で起きます。嫌悪はSNSや仕事の返信で起きます。思考を思考として観る練習は、寝る前に反すうが始まったときに効きます。活動の中の思いやりは、失敗した直後に効きます。

本書はホームワークが前提なので、やる場所を決めると回りやすいです。朝は短い呼吸空間法。夜はボディースキャン。週末は静座を長めにする。音声ガイドがあるので、迷いが減ります。迷いが減ると、継続の確率が上がります。

ワークブックへの書き込みは、出来事の説明より「そのとき体のどこが固まったか」「頭の中で何が繰り返されたか」を短く残すほうが役に立ちます。記録が増えると、反応のパターンが見えます。パターンが見えると、3分間呼吸空間法を入れるタイミングが早くなります。

8週間を通じて重要なのは、上達を競わないことです。できた日とできない日が出ます。そこを評価にしない。代わりに「気づいた回数」を増やす。週の終わりに、気づいた場面を3つだけ思い出す。これくらいの粒度で続けるのが現実的だと感じました。

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