レビュー
概要
『宇宙一やさしい エレキ・ギターはじめました』は、エレキギターを「触ったことがない」状態から始める人のための入門書です。構え方や機材の基本から、音の出し方、よく使うテクニック、実践フレーズまでを、段階的に案内してくれます。
ギターの挫折は、センスの問題というより、最初のつまずきを放置することから始まります。音が出ない、指が痛い、コードが押さえられない、リズムに乗れない。本書は、そうしたつまずきを前提に、ひとつずつ解消する設計です。
読みどころ
1) ゼロ前提で、手順が細かい
初心者向けの本でも、前提が高くなり、話は先へ進むことがあります。本書は説明が丁寧で、手順も小さく刻まれています。最初の数週間を乗り切るには、この丁寧さが効きます。
2) 独学でも迷子になりにくい
独学の一番の敵は、「次に何をすればいいか分からない」ことです。本書は、基本→テクニック→フレーズという流れが見えやすく、練習の道筋を作りやすい。練習が止まりにくい構成だと思います。
3) 「曲が弾ける」に接続しやすい
ギターは、基礎練だけだと飽きます。上達の実感が欲しい。本書は実践フレーズがあり、「音楽っぽい」体験へ早い段階でつながります。続けるための設計として良いです。
今日からできる:挫折しにくい練習の作り方
本書を活かすなら、練習時間より「戻りやすさ」を優先するのがおすすめです。
- 毎日10分でいいので、ギターをケースから出す
- 指が痛い日は、押さえる練習より右手のリズムだけにする
- 週1回は「弾けるフレーズ」を必ずやる(上達感を残す)
続けるほど、指の痛みも、コードの難しさも、少しずつ減っていきます。
よくあるつまずきと対処(初心者向け)
最初の壁は、だいたい決まっています。ここで止まらないための対処を、先に用意しておくと続きやすいです。
- 音がビビる:押さえる位置をフレットの真上ではなく、少し手前に寄せる。指先を立てて、隣の弦へ触れないフォームにする
- 指が痛い:短時間で区切る。痛い日はリズム練習や、弦に触れる練習だけでも良い
- リズムが合わない:いきなり速く弾かない。ゆっくりで「正しい動き」を作ってから上げる
「できない日がある」を前提に、やることを分けると挫折しにくいです。
最初にそろえると楽になる道具
ギターは本体だけでも始められますが、最低限の道具があるとストレスが減ります。
- チューナー:音程が合わないと、何を弾いても気持ちよくなりません
- ピック:種類を変えるだけで弾きやすさが変わります。何枚か試すのがおすすめです
- シールド:断線しやすいので、安物すぎないほうが安心です
環境を整えると、練習のハードルが一段下がります。
リズムが苦手なら、メトロノーム(アプリでも可)もおすすめです。最初から速さを追わず、ゆっくりで正確に弾く癖がつきます。
類書との比較
動画だけで学ぶ方法もありますが、動画は「見て分かった気」になりやすいのが弱点です。逆に本だけだと、音やリズムが掴みにくい。本書は、紙の手順と音源・映像がセットなので、独学の穴を埋めやすいと思います。
こんな人におすすめ
- 初めてエレキギターを買った(または買う予定)
- 独学で、最初の1〜2か月を乗り切りたい
- 練習の道筋が欲しい(何をすれば良いか迷いやすい)
合わないかもしれない人
- すでに基本を一通り弾ける(より専門的な教本が向きます)
- 理論や機材の深掘りをしたい(本書は入門に徹しています)
感想
この本を読んで良かったのは、「つまずくのが普通」という前提で進むところでした。初心者は、できないことが多くて当たり前です。そこで自分を責めると、練習は続きません。
ギターは、上達が階段ではなく、ジグザグに進みます。昨日できたのに今日はできない、ということが起きる。その波があっても戻れるように、練習を小さく刻む。本書は、その感覚を作るのに向いています。
本書の良さは、「続ければ弾けるようになる」だけでなく、「続けるための工夫」が具体的なところです。上手い人のやり方を真似する前に、まずは入口を作る。その順番が合っていました。
音楽は、うまくなるほど楽しくなります。最初の入口を、できるだけ痛くない形で用意したい人に合う一冊です。