『筋トレは必ず人生を成功に導く 運命すらも捻(ね)じ曲げるマッチョ社長の筋肉哲学』レビュー
著者: Testosterone
出版社: PHP研究所
¥1,260 Kindle価格
著者: Testosterone
出版社: PHP研究所
¥1,260 Kindle価格
『筋トレは必ず人生を成功に導く』は、筋トレを健康づくりや見た目改善だけでなく、仕事、メンタル、習慣形成まで含めた「生き方の土台」として語る本です。著者のTestosteroneさんらしい勢いのある語り口で、筋トレがなぜ人生を前向きに変えやすいのかを、かなり断定的に、しかし実感ベースで押し切っていきます。
本書は、学術的に筋トレを分析する本というより、まず行動を起こさせる本です。読者へ理屈だけを渡すのではなく、「とにかく始めろ」「やれば変わる」と背中を押します。そのため、冷静な健康本を求める人より、気持ちが落ちていて生活を立て直すきっかけがほしい人に向いています。
読みどころは、筋トレを自己管理の訓練として捉えているところです。筋トレは、目標を決める。記録する。少しずつ負荷を上げる。休む。また続ける。そういうサイクルで進みます。本書は、この流れがそのまま仕事や生活にも効くと語ります。たしかに、短い反復で改善を積み上げる感覚は、習慣化や仕事の進め方と相性がいいです。
また、本書は筋トレの効果を「自信の回復」と強く結びつけています。筋肉がつくこと自体より、昨日より少しできた、継続できた、記録が伸びたという事実が、自分を立て直す材料になるという考え方です。ここが本書の核で、人生を変えるのは筋肉そのものより、継続して積み上げた経験だと読めます。自己効力感を失っている人ほど、このメッセージは効きやすいです。
さらに、文章の勢いだけで終わらず、食事、休養、継続、考え方といった周辺要素へ話が広がるのも面白いです。筋トレを始めると、睡眠、食事、飲酒、時間の使い方まで見直さざるを得なくなります。本書はそこを「筋トレが人生を整える」と表現していて、たしかに生活全体の再設計へつながる感覚があります。
筋トレ本には、フォームや部位別メニューを細かく解説する実用書があります。本書はそれとは役割が違い、技術書というより動機づけの本です。具体的なトレーニング方法を深く学ぶなら別の本が必要ですが、そもそも始める気力が出ない人には、こちらのほうが先に効くと思います。
また、自己啓発本の中には行動を抽象論で鼓舞するものもありますが、本書は身体を使う行動へ結びついているぶん、実行へ移しやすいです。「まず1回やる」という入口があるので、気分だけ盛り上がって終わりにくいのが強みです。
生活にメリハリがなくなっている人、気分の落ち込みを抱えている人、何かを継続したいが自信がない人におすすめです。特に、仕事や家庭の負荷で自分のリズムを失っている人には相性がいいです。
逆に、筋トレの解剖学やプログラム設計を詳しく学びたい人には、内容が精神論寄りに感じるかもしれません。その場合は、技術書の前に読む起爆剤として使うのがよいと思います。
この本の価値は、筋トレを通じて人生全体を立て直す感覚を言葉にしてくれるところです。勢いのある本なので、主張の強さをそのまま受け取りすぎる必要はありませんが、「身体を整えると判断力や気分も整いやすい」という軸には説得力があります。体力が落ちると、仕事も家庭も余裕がなくなる。その現実を思えば、筋トレを後回しにしない意味は大きいです。
また、本書は完璧主義を崩してくれます。最初から大きく変わる必要はなく、まず1回、まず1週間、まず少し記録する。この小さな積み上げが、自己評価を変えるきっかけになると分かります。筋トレの本でありながら、生活を立て直すための実践書として読む価値がある一冊です。運動習慣を通じて仕事や気分の立て直しまで狙いたい人には、かなり相性がいい本です。
もちろん、筋トレだけで人生の問題が全部解決するわけではありません。それでも、身体を動かす習慣が気分と行動へ良い影響を与えやすいのは確かです。行動の起点がほしい人にとって、本書の熱量はかなり強い後押しになります。最初の一歩を踏み出す気分を作る本としてはかなり優秀で、やる気より先に体を動かしてみる発想を持たせてくれます。気持ちを立て直す入口として筋トレを見る視点も得られます。習慣づくりの本として読んでも意外に使えます。停滞感が強い時ほど効きます。背中を押してほしい時に向いています。かなり前向きになれます。