レビュー

概要

思春期の子どもに向けた「言葉かけ」の実践書。親や教師が使うべき肯定的な表現と否定的な表現の違いを、実際の会話例とともに紹介。心理学的な裏付けを添えつつ、10代の脳と心の発達段階を踏まえて「叱る」「ほめる」「対話する」タイミングを挙げる。章末には表形式のチェックリストがあり、自分の言葉かけがどのレベルにあるかを振り返る仕組み。

読みどころ

  • 第2章では、自己肯定感を育む肯定的な言葉として「君の努力を見ているよ」「挑戦したことがすでに価値だよ」といったフレーズを、具体的な場面(部活の試合前、成績が下がった翌日など)で使う方法を示す。
  • 第3章では、否定的な言葉が心にもたらす影響を神経科学的に解釈。脳の扁桃体にストレス信号が届くとどのようなホルモンが分泌されるかが図解されており、怒りをぶつけないための具体的な呼吸法も説明。
  • 最終章は「対話の場をつくる」ためのワークシートで、子どもに話を聞くときの聴き方の3ステップ(聞く・映す・まとめる)を操作的に示している。

類書との比較

『思春期の子どもを支える言葉』『ティーンの心をつかむ家族会議』は、概念的に良い言葉かけを紹介するタイプが多いが、本書は脳の発達と神経化学から効能を説明し、言葉がどのように身体に影響するかを示す。類書のように単なるフレーズだけを箇条書きするのではなく、実際のやりとりでの反応や体験をセットにしているため、科学的にも安心感があり感情的な応酬を回避する手法として再現性が高い。

こんな人におすすめ

  • 10代の子どもが反抗期で対話が続かない保護者。
  • 教室で毅然とした言葉を探すが、つい叱責に頼ってしまう教員。
  • 児童福祉の現場で短時間の相談に効くコミュニケーションを試したい支援者。

感想

「挑戦したことがすでに価値だよ」と伝えると、子どもが自分の行動を言語化しやすくなり、翌日には自主的に練習メニューを作成した。否定的な言葉を封じるために表情と言葉のセットを見直したことが、対話の質を変えるきっかけになった。脳の図を見ながら呼吸を意識すると、自分自身も余裕を持った声かけができるようになった。言葉の力を体感させる一冊で、再現性のある対話法として重宝した。

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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