レビュー
概要
『快読100万語!ペーパーバックへの道』は、英語学習を「勉強」ではなく「読書」へ寄せる本です。紹介文は、学校で何年も勉強したのに英語ができるようにならなかった人へ向けて、今度こそ使える英語が身につく、と書きます。
方法はシンプルです。紹介文ではコツとして次の3つが挙げられています。
- 辞書をひかない
- 分からない語はとばす
- 難しかったらすぐ投げ出して次の本に移る
ここが、この本の核です。勉強の失敗を「努力不足」にしないで、設計から変えていく本です。
読みどころ
1) 辞書を使わない勇気を、理屈で支える
英語学習で一番しんどいのは、辞書を引き続けて前へ進めない状態です。読書が細切れになり、内容も頭に残りません。
本書は、辞書を引かないことを正面から勧めます。これは乱暴に見えますが、狙いは「流れ」を守ることです。意味が全部分からなくても、話が追える状態を維持する。多読の考え方はそこにあります。
2) 途中で投げ出していい、という許可が出る
紹介文の3つ目は「難しかったらすぐ投げ出して次の本に移る」です。ここが救いになります。
挫折する人の多くは、1冊に執着します。読み切れないと、自分の能力を責めます。本書はそのループを断ち切ります。合わない本を捨てるのは、逃げではありません。選び直しです。
3) 100万語という目標が、学習を「量」に戻す
英語は、正解を積み上げる科目として学ぶと、息切れします。本書は読書量が100万語くらいになると、英語が読めるようになると説明します。
ここで効くのは「量」の発想です。語彙や文法を完璧にしてから読むのではなく、読むことで語彙や文法が染みる。順番を逆にする提案です。
「とばし読み」はサボりではなく、戦略になる
分からない単語が出るたびに止まると、読むこと自体が嫌になります。紹介文の「分からない語はとばす」は、その嫌さを先に切ります。
もちろん、何でも飛ばしていいわけではありません。大事なのは、話が追える程度に理解できているかです。本書は「やさしすぎるくらいやさしい本からはじめて」と強調しているので、飛ばしても追える本を選ぶ前提が見えます。
また、飛ばすことに慣れると、推測力が育ちます。英語は、全部を訳して読む言語ではありません。流れで理解する感覚を、読書で作れるようになります。
途中で投げ出す練習は、長期的に効く
紹介文は「むずかしかったらすぐ投げ出して次の本に移る」と言います。これは、心のハードルを下げます。
英語学習は、真面目な人ほど一冊に固執します。完璧に理解しないと次へ進めない。すると、量が積めません。本書はそこを割り切ります。読めない本は、今の自分に合っていないだけです。
投げ出してもいい、と決めておくと、読む量が増えます。量が増えると、いつの間にか読める領域も広がります。これが多読の回り方です。
100万語に届くまでの「見える化」がモチベになる
多読は、効果が出るまでに時間がかかります。そこで「どれだけ読んだか」を見える化するのが効きます。
紹介文にも「読書量が100万語に届くころ」とあるので、ゴールは量です。ページ数でも構いません。日付でも構いません。とにかく積み上げを記録すると、伸びが実感できます。
もう1つは、本選びの基準です。分からない単語が多すぎる本は、いったん避ける。楽しめる本に寄せる。多読は、勉強よりも先に「続く設計」が必要です。本書はその設計を前提にしています。
ペーパーバックが目標だとしても、最初は薄い本で大丈夫です。易しい本を何冊も読むほうが、結果として早いです。英語は、読み切った回数が自信になります。
読み方のコツ
この本を読むときは、まず「辞書を引きたくなる瞬間」を思い浮かべると良いです。知らない単語が続く場面。気持ちが焦る場面。そういう場面に対して、どう振る舞うかが本書のテーマです。
また、読み始めるなら、やさしすぎるくらいやさしい本から、と紹介文は言います。ここが重要です。難しい本を読むことが偉いのではありません。続くことが偉いです。
紹介文には「固定レイアウトで作成されており、ハイライトや検索などが使えない」と注意書きがあります。あとで見返したい人は、気になる箇所をメモしておくと読みやすいです。
類書との比較
- 単語帳や文法書は、知識を増やすのに向きます。一方で読めるようになるまでに時間がかかります。本書は読書から入る点が逆です。
- 精読中心の教材は、正確さは鍛えられます。ただ、読むスピードや量は伸びにくいです。本書は量の積み上げを優先します。
- 英会話中心の学習本は、話すことに焦点が当たります。本書は「読む」力を土台にして、英語の理解力を上げていくタイプです。
こんな人におすすめ
- 英語の勉強を続けてきたのに、読むのがつらいままの人
- 辞書なしで読めるようになりたい人
- ペーパーバックを「読書」として楽しめるようになりたい人