レビュー
ESの「何を書けばいい?」を、実例と型で埋めていく一冊
就活の序盤でいちばん困るのが、エントリーシート(ES)です。面接より先に、書類で落ちる。しかも原因が分かりにくい。だから改善の方向を見失いがちです。
『絶対内定2026 エントリーシート・履歴書』は、人気企業の書類選考を通過したESを多数掲載し、紙面上で添削しながら「通る文章」の条件を具体化していく本です。商社、デベロッパー、外資系企業など人気企業73社のESが収録されている、と紹介されています。抽象論ではなく、まず実例を見て基準を掴めるのが強いところです。
まず「4つのステップ」でES完成までの流れを作る
目次では、最初に「ES完成までの4つのステップ」が置かれています。ESで詰まる人は、いきなり書き始めてしまい、途中で迷子になります。先に作業手順を決めてしまうのは、地味ですが効きます。
続いて「提出直前でも大丈夫。1時間で書けるES」という章があるのも心強いです。もちろん、理想は早めの準備です。それでも、締切が迫ったときに“最低限の形”を作れるルートがあるだけで、焦りが減ります。
自己PRと志望動機を「評価される形」へ寄せるパートが厚い
ESの中心は、自己PRと志望動機です。本書では「採用担当者に評価される自己PRのつくり方」や、「ちょっとの違いでアピール度が2倍になるESの6つの技術」が並びます。
さらに「強い志望動機に磨き上げるための9つのアドバイス」「頭ひとつ抜きん出るES・履歴書にする9つのチェックポイント」と、磨き込みの章が続きます。ESは一発芸ではなく、推敲の競技です。チェックポイントがあると、直し方が“感覚”ではなく“作業”になります。
業界別の攻略があるから、刺すポイントを外しにくい
ESの難しさは、同じエピソードでも、業界によって刺さり方が変わることです。本書の目次には「業界別ES・徹底攻略」として、商社、メガバンク、金融、外資系金融、コンサル、デベロッパー、GAFAM・他、IT、通信、広告・マスコミ、B to Bメーカー、B to Cメーカー、運輸・インフラ、人材といった章が並びます。
この構成がありがたいのは、「何を強調するか」を業界ごとに整理できる点です。自己PRの素材が同じでも、メガバンクと広告では見せたい顔が違います。だから、業界別に“アピールの軸”を変える視点があると、ESが急に通りやすくなります。
「履歴書」パートが効くのは、ESと履歴書の役割が微妙に違うから
就活では、ESだけでなく履歴書も提出します。でも、履歴書は「きれいに埋めること」が目的になりがちです。そこで起きるのが、情報の重複と、印象の薄まりです。
履歴書は、スペースが限られています。だからこそ、ESで語るエピソードと“噛み合う要約”を置けるかが重要になります。本書はESと履歴書をセットで扱うので、同じ素材を「長文」と「短文」の2つの器に入れ替える練習ができます。これは面接対策にも直結します。
企業73社の実例を「業界比較」で読むと学びが深くなる
実例は、単体で読むより、比較して読むと効果が出ます。
- 同じ商社でも、どの言葉を前に出しているか。
- メガバンクと外資系金融で、志望動機の“主語”がどう変わるか。
- コンサルとITで、成果の見せ方がどう違うか。
こういう比較をすると、「自分の文章が弱い」ではなく「この業界向けの言葉になっていない」と気づきやすくなります。本書が業界別攻略を置いているのは、まさにその比較をしやすくするためだと思います。
使い方のおすすめ:例文を写すより「添削の視点」を盗む
ES実例がある本は、つい文章を真似したくなります。でも、本当に価値があるのは「どこが評価されるのか」という視点です。
- 書き出しで結論が見えるか
- 事実と解釈が混ざっていないか
- 行動の背景(なぜそれを選んだか)が書けているか
- 数字や比較で、再現性の匂いが出ているか
- 志望動機が「企業の特徴」と「自分の軸」で繋がっているか
こういう観点で実例を読むと、書くときの迷いが減ります。本書は「紙面上で添削する」と紹介されているので、まさにこの“直し方”が学べるタイプの就活本です。
こんな人におすすめ
- ESで落ち続けていて、改善点を言語化したい人
- 自己PRや志望動機を、型で組み立てたい人
- 志望業界ごとのアピール軸を整理したい人
- 提出直前でも破綻しない“書き方の手順”がほしい人
まとめ
『絶対内定2026 エントリーシート・履歴書』は、人気企業73社の通過ESと添削を通して、ESを「何となく書く」から「通る条件で整える」へ変えてくれる本です。4つのステップ、1時間で書くための組み立て方、自己PRの作り方、アピール度を上げる6つの技術など、書く作業を分解してくれます。さらに、志望動機を磨く9つのアドバイスやチェックポイント、業界別攻略も揃っています。ESを“センス勝負”にしたくない人向けの一冊です。