レビュー
概要
『「育ちがいい人」だけが知っていること』は、マナーを堅苦しいルール集ではなく、相手を安心させるふるまいとして教える本です。著者はマナー講師の諏内えみ。立ち居振る舞い、言葉づかい、食事の所作、贈り物や訪問時の配慮まで、「感じのよさ」がどこから生まれるのかを細かく見せてくれます。
タイトルだけ見ると選民的に感じるかもしれませんが、実際の中身はもっと実用的です。生まれや経歴の話ではなく、日常の所作をどう整えるかが中心で、練習すれば身につくことばかりです。だからこそ、「育ちのよさは作れる」という読後感になります。
読みどころ
読みどころの1つ目は、所作の説明が具体的なことです。立ち姿、笑顔、ドアの開け閉め、エレベーターでの立ち位置など、一見細かい行動が「感じのよさ」にどうつながるかを丁寧に拾っています。抽象的に上品さを語るのではなく、体の動かし方の話まで落ちてくるので、再現しやすいです。
2つ目は、言葉づかいの章です。本書では、丁寧語を増やせばいいという話ではなく、相手をきつくさせない言い換えや、やわらかい断り方、気持ちよく聞こえる返し方が多く紹介されます。仕事でも家庭でも使いやすい表現が多いので、単なる接遇本より生活に戻しやすいです。
3つ目は、食事のマナーが形式だけで終わらないところです。箸の扱い方や器の持ち方といった基本だけでなく、なぜその所作が周囲を不快にさせにくいのかまで説明されます。理屈が添えられているので、暗記で終わらず、子どもに伝えるときにも使いやすいです。
後半の「困った場面の切り返し」も実用的です。詮索されたとき、褒められたとき、場を濁さずに返したいときなど、日常にありがちな場面に対する言い方が多く載っています。品のよさを、気取らず場を整える技術として読めるのが本書のいいところです。
類書との比較
マナー本の中には、正解を暗記させる方向へ寄るものもあります。本書はそれより、「なぜその振る舞いが相手を心地よくするのか」に目を向けているので、読んでいて息苦しさが少ないです。
また、自己啓発本のように内面だけを整える本とも違います。姿勢や言葉づかいのような外側から入るので、気分が乗らなくても試しやすいです。自信がないときほど、こういう外側から整える本は効きます。
こんな人におすすめ
仕事や日常で「感じのいい人」になりたい人向けです。接客業や広報に限らず、会食、挨拶、訪問、家庭でのしつけなど、使える場面は広いです。
また、子どもにどうマナーを伝えるか迷っている親にも向いています。言葉と所作の両面から説明されるため、「なぜそうするのか」を一緒に話しやすいです。
就職活動や会食、来客対応など、少し改まった場に不安がある人にも役立ちます。急に品格ある人になるのではなく、失礼を減らしながら感じのよさを積み上げる本として使えます。
感想
この本を読んでよかったのは、マナーを「評価されるための演技」としてではなく、相手への気づかいを見える形にする技術として受け取れたことです。厳格な作法の本ではなく、周囲を安心させる行動の本として読むとかなり役立ちます。
少し言い方を変える。所作を静かにする。それだけで場の空気はやわらぎます。本書は細部まで教えてくれます。
読み終えるとすぐ1つ試したくなります。大人が学び直すマナー本として、かなり使いやすい一冊でした。
日常実装しやすい本です。
堅苦しい教養本ではなく、暮らしの中のノイズを減らす本として読むと良さがよく分かります。家庭や職場で使えます。人を不必要に緊張させないふるまいを学びたい人に向いています。
「育ちのよさ」を身分や過去の話にしないところも後味がいいです。いまからでも整えられる振る舞いとして示してくれるので、学び直しのハードルが低い本でした。
人前での立ち居振る舞いに少し自信がないとき、この本のように細部を言葉にしてくれる存在は助かります。品格を演出する本ではなく、安心感を作る本として読めるのが強みです。
所作や言葉づかいは、知っているだけでなく繰り返して初めて身につきます。本書はその反復に向く具体例が多いので、読み返しながら少しずつ自分の習慣へ落とし込めるのも良いところです。
一度読んで終わりではなく、手元に置いて場面ごとに見返したくなる本でした。
実用性は高いです。