レビュー

概要

『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』(2019年)を参照しながら、最新の薬物治療と発作時の応急対応、ひいては合併症に至るまで患者の視点で再構成した実践書。尿酸値が高い人の「見える化」=血圧や腎機能、生活習慣データを1枚のシートに収める方法から始め、生活改善と薬剤治療、Q&A、医療機関との連携までを一冊で網羅。改訂版で巻末Q&Aを大幅に増やし、患者数110万人超・高尿酸血症1000万人超という現状を踏まえて、早期介入の重要性を何度も反復する。

読みどころ

  • 第1章は最新の疫学と診断。痛風予備軍のストーリーテリングとともに、診断で見るべき7つのポイント(尿酸値・eGFR・尿酸排泄量・BMI・血圧・飲酒習慣・薬剤歴)をチェックリスト化。図版で「異なる病型(腎排泄低下型・産生過剰型)」を整理し、自分の病型を把握するためのワークを収録。
  • 第2章と第3章では治療の流れを描く。内服薬のスタート時、安全確認、増量、増悪予防までの「治療フロー」を時間軸で追い、尿酸低下薬(フェブキソスタット、ベンズブロマロンなど)の作用機序を比較。痛風発作中の対応ではNSAIDsを中心にした薬の並行や、食事制限に伴う栄養不足の注意点を表にまとめている。
  • 第4章以降は合併症と生活習慣。尿路結石、慢性腎臓病、高血圧、脂質異常症、糖尿病との関連をラベリングし、それぞれの予防策を列挙。食事編ではプリン体の推奨摂取量、アルコールの晩酌パターン、低PUFA食品リストといった具体的な例を並べた。巻末では患者と医療者の対話例およびQ&Aが充実し、「診察当日に言い忘れたこと」を帳票に書き込める欄を用意している。

類書との比較

『痛風を治す生活』はライフスタイル改善の四角形(食・酒・運動・睡眠)に絞るのに対し、本書はガイドライン第3版を日本語で噛み砕き、薬物から合併症予防まで縦断した医療情報を提供。『尿酸値を下げるレシピ集』が食事のメニュー中心なのに対し、こちらは合併症リスクと薬剤選択のバランスをリスト化しており、主治医とのディスカッション材料としての再現性が高い。

こんな人におすすめ

痛風・高尿酸血症で複数回入院した経験がある人、痛風発作前の「ジワッとした違和感」を見逃さないために症状記録をつけたい人、医療者との対話で次の薬を相談したい人。

感想

専門用語が並ぶにもかかわらず、ワークシートとQ&Aのおかげで「自分の1週間の血糖・尿酸リズム」をすぐに書き出せた。合併症の章では具体的な検査項目と生活改善の組み合わせが表で表現され、数値を見ながら「ここを切り替えればリスクが下がる」という仮説が立てやすかった。改訂で増えた巻末Q&Aには、医療者が想定する質問と回答が逐一置かれており、診察時に聞き漏らした項目をあとから振り返る助けになる。

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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