Kindleセール開催中

204冊 がお得に購入可能 最大 95%OFF

レビュー

概要

『始めよう。瞑想』は、瞑想を神秘的な修行や宗教実践としてではなく、頭を整理し、心身を休めるための技術として紹介する入門書です。著者の宝彩有菜さんは、瞑想を「考えることをいったん止める技術」として説明し、初心者でも取り組みやすいように15分の実践プロセスへ落とし込んでいます。Kobunsha の紹介でも、身体の調子、感情の安定、記憶力や創造性の改善まで見据えた本として位置づけられており、単なるリラックス本より少し広い射程を持っています。

この本の良いところは、瞑想を雰囲気で語らないことです。心を空にする、無心になる、と言われても普通は何をすればいいか分かりません。本書はそこを曖昧にせず、まず場所を決め、座り、体を整えるところから始めます。そのうえで目を閉じ、姿勢を正し、呼吸を調える工程を順番に示していきます。読者は理屈を読んで終わるのではなく、そのまま体を動かしながら理解できます。

本の具体的な内容

本書の中核は、15ステップの瞑想実践です。Kobunsha の紹介では、瞑想に適した場所を探すところから始まり、座り方、体を前へ倒す動作、目を閉じること、上体を起こして姿勢をつくること、指の形を整えること、肋骨を使った呼吸、腹式呼吸、背筋を伸ばすことなどが順に挙げられています。つまり、本書は「心の持ちよう」より先に、体の配置と呼吸の組み立てをかなり重視しているわけです。この具体性が、初心者には大きいです。

また、本書では瞑想の鍵を「何も考えないこと」とかなりはっきり言い切ります。最近のマインドフルネス本は、浮かぶ思考や感情をただ観察する立場を強調することが多いですが、この本はもう少し古典的で、思考そのものを手放していく感覚に重心があります。著者は、起きている時間に思考を休ませること自体が、疲れた脳への手当てになると説きます。ここは認知行動療法系の本とも、自己啓発系の本とも違う独特の位置取りです。

内容面でも、瞑想をただの気分転換で終わらせません。身体をゆるめること、感情を安定させること、記憶力や創造性まで含めて、頭と心の状態がどう変わるかをまとめて扱います。もちろん、これらの効果を本書だけで科学的に証明しているわけではありません。ただ、著者が伝えたいのは、瞑想を特別な人だけの修行ではなく、日々の疲労を引き受ける生活技術として取り戻すことなのだと思います。

ページ構成も入門向けです。光文社の紹介ではイラスト入りで15ステップを説明するとあり、読みながらそのまま真似しやすい作りになっています。瞑想本は概念説明が長くなりがちですが、本書は先にやってみることを優先させる。だから、「理屈は分かるけれど結局やらない」という状態に陥りにくいです。短い時間で実践の感触をつかみたい人にはかなり向いています。

一方で、本書は現代的なマインドフルネスの科学解説を前面に出す本ではありません。脳科学や臨床心理学の研究を細かく追いたい人は、別の本で補う必要があります。ただ、瞑想を習慣にする最初の1冊として見ると、このシンプルさはむしろ強みです。頭で理解しすぎる前に、静かに座って、呼吸し、考えない時間を15分つくる。その入口として非常に整理されています。

さらに、Kobunsha の英語版紹介では本書が10万部超のロングセラーであることも触れられています。瞑想本は一時的な流行に乗ったものも多いですが、この本が長く読まれているのは、やることが明確で、しかも大げさな約束をしすぎないからだと思います。毎日15分、場所を決め、姿勢を整え、呼吸を調える。その反復だけで十分だと伝える潔さがあり、そこに古びにくさがあります。

こんな人におすすめ

  • 瞑想に興味はあるが、何から始めればよいか分からない人
  • 頭の中の考えごとを一度止める感覚を身につけたい人
  • 宗教色の強い本ではなく、手順のある実践書を探している人

類書との比較

マインドフルネス系の本には、心理学や脳科学を手厚く説明するもの、感情観察やセルフコンパッションを中心に置くものが多くあります。それに対して本書は、かなりストレートに「座る」「呼吸する」「考えない」の技術へ寄っています。理論の厚さより、実践の入口のわかりやすさで勝負している本です。古典的な瞑想入門に近い手触りがあり、マインドフルネス流行以前の瞑想本として読むとむしろ新鮮でした。

また、最近の入門書にはアプリ前提のものも多いですが、本書は本と自分の身体だけで始められる点も強みです。環境を整える手順そのものが丁寧なので、機械や音声ガイドに頼らず、自分の感覚で瞑想の基礎をつかみたい人にはこちらのほうが合うはずです。

感想

この本のよさは、瞑想を難しく見せないことです。無心になるとか、頭を空っぽにするとか、言葉だけ聞くと抽象的ですが、本書はそれを姿勢と呼吸の順番に分解してくれます。そのため、読後に残るのは「瞑想は深い」という印象より、「15分ならやってみよう」という具体性です。

特に印象に残ったのは、思考を止めることを怠惰ではなく、疲れた脳を休ませる行為として捉えている点でした。日中ずっと考え続けている現代人にとって、意識的に考えない時間をつくるのはたしかに大事です。本書はその入口を丁寧に示してくれます。説明しすぎず、曖昧でもありません。アプリや難しい理論がなくても始められる瞑想入門です。静かな時間を生活へ戻したいときの助けになります。呼吸と姿勢だけで始められる手軽さも魅力でした。初回の一歩が軽くなります。

この本が登場する記事(1件)

本の虫達

要約・書評・レビューから学術的考察まで、今話題の本から知識を深めるための情報メディア

検索

ライター一覧

  • 高橋 啓介

    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
  • 森田 美優

    森田 美優

    出版社勤務を経てフリーライターに。小説からビジネス書、漫画まで幅広く読む雑食系読書家。Z世代の視点から現代的な読書の楽しみ方を発信。
  • 西村 陸

    西村 陸

    京都大学大学院で認知科学を研究する博士課程学生。理系でありながら文学への造詣も深く、科学と文学の交差点で新たな知の可能性を探求。
  • 佐々木 健太

    佐々木 健太

    元外資系コンサルタントから転身したライター。経済学の知識を活かしながら、健康・お金・人間関係の最適化を追求。エビデンスベースの実践的な知識発信を心がける。

Social Links

このサイトについて

※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。