レビュー
概要
『書く習慣』は、「うまい文章」より先に「書き続ける体」を作る本です。文章術のテクニック集というより、毎日の中に“書く時間”を置き直すためのガイドだと感じました。書けない理由って、才能よりも、疲れや焦りや完璧主義で手が止まりやすいんですよね。本書はそこを、やさしくほどいていきます。
私はこの本を読んで、「書く」って作品づくりだけじゃなく、気持ちの整理や、人生の方向確認にも使えるんだと思い直しました。日記やメモでもいい。大事なのは、書くことで自分の輪郭が少しはっきりすることです。
読みどころ
1) 文章の前に「習慣」を作る設計
書ける人と書けない人の差は、技術よりも“机に座る回数”に出ます。本書は、やる気がある日にだけ頑張るのではなく、気分が乗らない日でも書ける形を提案します。短い時間、短い量、短いハードル。ここが現実的です。
2) 自分の言葉を増やすための問いがある
書けないときは、素材不足になりがちです。本書は、素材を引き出す問いをくれます。「何を書こう」で止まらず、「今日の自分は何に反応した?」まで戻る。私はこの問いの戻り方が、いちばん効きました。
3) 書くことを“評価”から切り離してくれる
SNSや仕事の文章は、どうしても評価とセットになりがちです。でも、習慣を作る段階では評価が邪魔になります。本書は「まずは書いて終わり」にしていい、と背中を押してくれます。ここが救いでした。
本の具体的な内容(実践イメージ)
本書は、毎日書くための考え方と、手を動かすための具体例がセットになっています。私は特に「最初から長文を書こうとしない」提案が好きでした。たとえば、1日の終わりに3行だけ書く。書けたらOK。書けなくても、タイトルだけでもOK。こういうルールにすると、負担が減って続きます。
また、書く内容を“立派なテーマ”にしないところもポイントです。今日のモヤモヤ、うれしかったこと、気になった言葉、買ってよかったもの。小さい題材を軽く拾うほうが、習慣は作りやすいです。
まずやること(1週間の小さな実験)
私は、読み終えたらいきなり毎日投稿を目指すより、次の3つだけ試すのがおすすめです。
- 書く時間を固定する(朝か夜のどちらかに寄せる)
- 量を決める(3行、または200字など)
- テーマを決めない(問いへ答える形にする)
これだけでも「書けない日が怖い」が減っていきます。習慣づくりは、気合いではなく設計です。
合う人・合わない人
文章を仕事にしたい人はもちろん、日記が続かない人にも合います。私は、頭の中が散らかりやすい人ほど相性がいいと思いました。書くことで、思考が片づくからです。
逆に、文章の型や構成をガッツリ学びたい人には、少し物足りないかもしれません。本書は「うまく書く」より「続ける」に重心があります。
読み方のコツ
私は、読んだその日に1つだけ“書くルール”を決めるのがいいと思います。全部取り入れると続かないので、まずは最小単位で。
それと、書いたものをすぐ公開しないのもおすすめです。公開を前提にすると、言葉が固くなります。習慣を作る期間だけは、非公開のメモでも十分です。
書けない日の処方箋(やめないための工夫)
習慣づくりで一番怖いのは、1日止まったときに「もう無理だ」と思ってしまうことです。私はここで何度も失敗してきました。だからこそ、書けない日は“書く”の定義を下げていいと思います。
- 文章ではなく「単語」を3つ書く
- 今日の気分を「天気」で表す(晴れ、くもり、雨など)
- 書けない理由をそのまま書く(眠い、時間がない、怖い)
これでも、習慣は途切れません。続けるために必要なのは、上手さではなく、再開のしやすさです。
続けるための環境づくり
私は、意志の力だけに頼ると続きませんでした。だから環境を先に整えるのがおすすめです。
- 書く場所を固定する(ソファでもOK)
- 使う道具を固定する(スマホのメモでもOK)
- 書き始めの型を決める(「今日の一言:」から始める)
小さい決め事が増えるほど、迷いが減って、書き始めが軽くなります。
注意(書いたものの扱い)
書く習慣が回り始めると、過去の文章が気になってきます。私はここで、つい自分にダメ出しをして止まりがちでした。でも、習慣づくりの段階では「読み返して直す」より「次を書く」が優先です。
それから、日記やメモには個人情報も混ざります。公開する場合は、名前や場所、具体的な日時をぼかすなど、自分を守る工夫が必要です。安心して書ける環境があるほど、続きやすくなります。
感想
私はこの本を読んで、「書く」ことを特別な行為にしすぎていたと気づきました。すごい文章を書こうとするほど、書けなくなる。だからこそ、生活の中の小さい書く時間を守るほうが、結果的に遠くへ行けます。
書けない日の自分を責めがちな人にほど、すすめたいです。書くことは才能の証明ではなく、今日の自分を回復させる手段でもあります。読み終えたあとに、机へ戻るハードルが少し下がる1冊でした。