『沈黙のWebライティング -Webマ-ケッタ- ボ-ンの激闘- アップデ-ト エディション』レビュー
著者: 松尾 茂起 / 上野 高史
出版社: エムディエヌコーポレーション
¥1,100 ¥2,420(9%OFF + 50%還元)
著者: 松尾 茂起 / 上野 高史
出版社: エムディエヌコーポレーション
¥1,100 ¥2,420(9%OFF + 50%還元)
『沈黙のWebライティング』は、SEOやコンテンツマーケティングの基本を、講義形式ではなく物語形式で学ばせる実践書です。国会図書館サーチでは著者は松尾茂起さん、作画は上野高史さん、出版社はエムディエヌコーポレーションと確認できます。Webライダーの公開コンテンツでも、このシリーズが「検索エンジンを使うユーザーの意図を満足させるコンテンツ」を重視していることが前面に出ています。本書はその考え方を、キャラクターの会話と事件の進行にのせて体感的に理解させる本です。
いちばんの特徴は、単なる文章術の本ではないことです。文章をうまく書くこと自体が目的ではなく、検索してきた人が何を知りたいのか、何に不安を持っているのか、どこで離脱するのかを考えながら設計する。その意味で本書は、ライティング本でありながら、ユーザー理解、SEO、導線設計、信頼構築の本でもあります。
本書の核は、「検索意図に応える」ことの重要性を、抽象論ではなく実務の文脈で繰り返し見せる点にあります。検索順位を上げたいならキーワードを入れればよい、という古いSEO観から離れ、ユーザーがその検索語の背後で何を解決したいのかを考える。タイトル、見出し、導入、本文、CTAのどこに何を書くかも、その意図に沿って決まるという発想です。Webライダーの公開ページでも、SEOで成功するには検索エンジンより先にユーザーの意図を満足させる必要があると明言されています。本書はまさにそこを、物語を通じて腹落ちさせます。
また、物語形式が単なる読みやすさのためだけではないところも重要です。ボーンを中心とした登場人物が案件やトラブルに向き合う中で、悪い文章がなぜ機能しないのか、読まれる導線はどう作るのか、説得力のある言葉はどこから生まれるのかが、具体的な場面として立ち上がります。読者は解説を「覚える」のではなく、「その場で必要になる知識」として受け取れるので、実務への移し替えがしやすいです。
さらに、本書はSEOだけでなく、読み手の心理にどう寄り添うかをかなり重視します。見出しの付け方、話の順番、事例の使い方、専門用語の噛み砕き方など、どれも「相手に伝わるか」が基準です。そのため、テクニカルSEOだけ学びたい人より、記事やLPやオウンドメディアで成果を出したい人に向いています。文章をうまくする本というより、成果につながるページ全体を設計する本として読むと価値が大きいです。
物語の勢いに隠れがちですが、学べる内容はかなり広いです。ユーザーの悩みを起点に構成を組むこと、信頼される情報の見せ方、読み進めてもらうリズム、商品やサービスの価値をどう伝えるか、コンテンツ制作と改善をどう回すか。Webライティングを単発のスキルではなく、マーケティングの流れの中で捉えられるようになるのがこの本の強みだと思います。
Webライティング本には、テンプレートやテクニックだけを並べるものも多いです。本書はそれよりずっと立体的で、書き手の都合ではなく読み手の行動を中心に置きます。だからこそ、ブログ、メディア記事、サービスページ、セールスライティングまで応用範囲が広い。物語形式ゆえに分量はありますが、そのぶん理解が定着しやすい本です。
アップデート・エディションとして読み直す意味もここにあります。検索環境や読者行動は変わっても、相手の疑問を先回りして不安を減らし、読み進める理由を作り、最後に行動へつなげるという原理は古くなりません。流行りの小手先だけでは長く通用しないと感じている人ほど、本書の土台の強さが役に立つはずです。
この本の良さは、Webライティングを地味な作業としてではなく、相手の感情や行動を動かす創作と設計の仕事として見せてくれるところです。検索意図、構成、信頼、導線、訴求のすべてがつながっていることがよく分かります。しかも説教くさくなく、読み物としても進むので、分厚いのに最後まで読み切りやすい。記事を書いているのに成果につながらないと感じている人ほど、どこを見直すべきかがはっきりする一冊です。