レビュー
概要
スライド作成の最初のステップとして構造設計を重視し、解剖学的に見てわかりやすいプレゼン資料の構成を 5 部構成で説明。視覚化、ストーリー、データ、デザイン、配色という 5 つのレイヤーを順番に整えることで“使える資料”に仕上げる。全編にわたり、構造図と事例スライドを並べて提示し、スライドの原則を再現性高く解釈できるようにしている。
読みどころ
- 第1章で「構造化フレームワーク」を提示。概要→課題→解決策→結果という報告の黄金ルートに分け、1 枚のスライドに必要な情報を notational grid で記述。読み手の注意を引きつける入口を「視線の導線」として視覚化。
- データビジュアライゼーション章では、棒グラフ・線グラフ・散布図の使い分けを条件付きで示し、「相関の説明には散布図」「時間変化には線」などの recommended pair を置く。論文で統計を示すときと同じように、信頼区間や誤差範囲の表示にも言及。
- デザイン章は配色と余白に注力し、リーディングラインを作るためのグリッドの引き方や、フォントの階層化を具体的に記述。特に 3 色ルール(強調色・補助色・背景色)の活用法を図解。
類書との比較
『伝わる資料の技術』はテクニックの羅列になりがちなところを、こちらは「構造設計→具現化→見直し」の嬗変を丁寧に扱う。『図解 データプレゼン資料』のように視覚化に寄ってもいいが、本書は構成とデザインの橋渡しをし、学術的な論文のように“主張と根拠を対応させる”テンプレートを提供している。
こんな人におすすめ
経営・研究の両局面でプレゼン資料を頻繁に作る人。特にエビデンスとストーリーを同時に語る必要のある研究者やエンジニア、また査読付き資料を提出する立場の人に向いている。
感想
資料の構造を解剖的に捉え直したところが学術的視点と合致し、現場資料の粗さにも気づけるようになった。情報の階層化、視線の導線、色彩の整え方などが段階的に整理されていて、今後の資料もこのフローで再現性を持って設計できると思える。