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レビュー

概要

『ラーメン大好き小泉さん 1』は、クールで無口な転校生・小泉さんが、ひたすらラーメンを食べ歩く「ラーメングラフィティ」です。 物語の中心は恋愛や部活ではありません。 一杯のラーメンです。 それも、雑に“美味しい”で終わらない一杯です。 麺、スープ、香り、店の流儀。 その全部に、真正面から向き合う熱量があります。

第1巻の面白さは、ラーメン知識の量より、ラーメンが人の行動を変えていくところにあります。 小泉さんはミステリアスです。 でもラーメンの前では、感情がはっきり出ます。 そのギャップが、作品の推進力になります。

読みどころ

1) 小泉さんの「無口」が、ラーメンへの集中として成立している

小泉さんは基本的にクールです。 周囲と必要以上に距離を詰めません。 ところがラーメンを前にすると、目の色が変わります。 黙って食べる。 でも食べ方は迷わない。 この一貫性が気持ちいいです。

2) “王道”と“個性派”の振れ幅で、ラーメンの広さが伝わる

ラーメンは一括りにできません。 濃厚なものもあります。 あっさりしたものもあります。 トッピングで別物にもなります。 第1巻は、その振れ幅をエピソードで見せます。 読んでいると、頭の中に湯気が立ちます。

3) 追いかける側の視点があるから、読み手も一緒に迷える

小泉さんは店選びに迷いません。 だから読者は置いていかれそうになります。 そこで効いてくるのが、周囲の女の子たちの反応です。 「何が違うのか分からない」側がいる。 その視点があるから、説明が自然になります。

4) 食の漫画なのに、後味が軽い

グルメ漫画は、うんちくが濃いと疲れることがあります。 本作は知識を載せつつも、基本はコメディです。 小泉さんの態度がブレないので、話が重くならない。 気分転換として読みやすいです。

5) “一人で食べる”を肯定してくれる

ラーメンは一人で食べやすいジャンルです。 でも実際は、初めての店に入るのは勇気がいります。 小泉さんは、そこを軽々と越えます。 その姿が、読者の背中を少し押します。 第1巻を読むと、一人行動のハードルが下がります。

本の具体的な内容

第1巻では、転校生として小泉さんが現れます。 クールで無口で、同級生との距離を簡単には縮めません。 だから周囲は気になります。 特に同級生の大澤悠は、小泉さんのことが気になって仕方がありません。

ところが、放課後の小泉さんは“普通の女子高生”の行動をしません。 向かうのはカフェやショッピングではなく、ラーメン店です。 一人で入る。 迷いなく注文する。 黙々と食べる。 そして、食べ終えると満足そうに店を出る。 悠がその背中を追いかけることで、「ラーメンの世界」が日常の中に開いていきます。

この巻のラーメン描写は、味の感想を並べるより先に、店の流儀と食べ方を描きます。 注文の仕方。 替え玉のタイミング。 スープの濃さの選び方。 トッピングの足し算引き算。 そういう選択が、一杯の体験を変える。 小泉さんはその選択が上手いです。 だから読者は、「次はこれを試したい」という気分になります。

また、小泉さんがラーメンに向き合う姿は、ただの食いしん坊ではありません。 集中の仕方が、職人に近い。 湯気の立つ丼を前にして、余計な会話をしない。 味に集中する。 だからこそ、ラーメンが“趣味”ではなく“生活の軸”に見えてきます。

第1巻は「ラーメンの入口」をいくつも用意しています。 濃厚なスープに惹かれる人もいます。 あっさりした醤油が好きな人もいます。 トッピングで遊びたい人もいます。 そういう好みの違いが、エピソードのバリエーションとして効いてきます。 ラーメンに詳しくなくても、「この方向性は好きかも」と当たりがつけられる構成です。

そして小泉さんは、食べるときに迷いません。 迷わない人の選択を見ると、選ぶ側の視点が育ちます。 次に店へ行くとき、スープの濃さや麺の硬さを“なんとなく”で決めなくなる。 第1巻は、そのくらいの変化を読者に残します。

こんな人におすすめ

  • ラーメンが好きで、読むと食べに行きたくなる漫画を探している人
  • グルメ漫画のうんちくは欲しいが、重すぎるのは苦手な人
  • 人間関係のドロドロが少ない、気楽な日常漫画が読みたい人
  • 一人で店に入る勇気を、ちょっとだけもらいたい人

感想

第1巻を読んだあと、いちばん残るのは「食べることを、ちゃんと趣味にしていい」という肯定感でした。 誰かと合わせるための食事ではありません。 映えるための店選びでもありません。 自分のために選ぶ一杯です。

小泉さんは無口です。 でもラーメンへの態度が雄弁です。 そのブレなさが、読んでいて心地いい。 気分が沈んでいる日に読むと、次に外へ出る理由が1つ増えます。 ラーメンの湯気みたいに、気持ちがふわっと上がる第1巻でした。

読み終わったあとに、味の記憶が残るのも楽しいです。 麺のすすり方の勢い。 スープの香りを想像する時間。 それらが、読書の体験として残ります。 漫画なのに「食べた気分」になる。 その不思議な満腹感が、この作品の強みだと思います。

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    佐々木 健太

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