レビュー

概要

『NHK CD BOOK 実践ビジネス英語 ニューヨークシリーズ ベストセレクション』は、NHKラジオ「実践ビジネス英語」で放送された梅村聖四シリーズ(2014年度〜2015年度)から、48レッスンのうち20本を厳選して収録したCD BOOKです。 ビニェット(ミニドラマ)の会話を通じて、高いレベルの英語運用能力を鍛えていく構成で、「世界の“今”を英語で話す」ための素材が集まっています。

読みどころ

1) “会話の流れ”で覚える英語になっている

単語帳や例文集だと、覚えた表現が実際の会話で出てきません。 この本は、ミニドラマの会話の中で表現が生きた形で出てきます。 だから「どの場面で、どういう温度感で言うのか」が残りやすいです。

2) テーマが「ビジネス英語の雑談力」に寄っている

いわゆる会議英語だけではなく、英語圏のビジネスシーンで話題に上りやすい最先端テーマを扱うのが特徴です。 専門用語の暗記より、話題の選び方や切り返しのリズムが身につく方向です。

3) 目次が“話題の地図”になっている

本書の目次は、テーマ別に章立てされています。 第1章はライフスタイル革命(ジェントリフィケーション、コラボ的生活様式など)。 第2章は変わるコミュニケーション(かつての日々、メール過多など)。 第3章はIT&デジタル時代を生きる(デジタル時代に読む、Z世代の出現など)。 第4章は迫り来る社会構造大変革(人口動態変化の影響、役割転換など)。 英語の学習書なのに、話題そのものが“現代の地図”になっているのが面白いです。

本の具体的な内容

本書は、20本のレッスンを「ニューヨークシリーズ」としてまとめ、CDの音声と書籍のテキストを往復しながら学ぶ作りになっています。 まずは音声で全体を聞く。 次に、テキストで内容を確認する。 最後に、もう一度音声へ戻り、会話の流れごと口に出して追いかける。 この往復がしやすく、CD BOOKとしての強みになります。

特に「メール過多」「デジタル時代に読む」「Z世代」といった題材は、ビジネスの現場に限らず、日常の会話にも接続しやすいテーマです。 英語で雑談が続かない原因は、語彙の不足だけではありません。 話題にできるネタが手元にない、という問題も大きい。 この本は、そのネタを“英語の会話”として身につけられるのが良いところです。

第1章のライフスタイル革命は、ジェントリフィケーションやコラボ的生活様式のように、都市の変化を話題にします。 「ニューヨーク」という舞台設定も相まって、生活の話題がビジネスの話題へ自然につながります。 自分の暮らしの話を英語にするとき、こういうテーマは意外と使いやすいです。

第2章の変わるコミュニケーションは、かつての日々やメール過多など、“働き方の感覚”を扱います。 英語の雑談は、相手の仕事観を聞く場になりやすい。 そのときに必要なのは、丁寧すぎない言い回しと、軽い相づちの型です。 ミニドラマ形式だと、その型が会話のテンポとして入ってきます。

第3章のIT&デジタル時代を生きるでは、デジタル時代に読む、そしてZ世代の出現が並びます。 単にIT用語を覚えるのではなく、世代感覚やメディアの変化をどう説明するかが中心に来る。 この視点があると、英語での自己紹介や近況トークが一段だけ深くなります。

第4章の迫り来る社会構造大変革は、人口動態変化の影響や役割転換がテーマです。 社会の変化は抽象的になりがちです。 でも会話素材として入っていると、抽象を日常の言葉へ戻す練習になります。

学び方のコツとしては、1レッスンを「聞く→読む→まねる」の3周で回すのがおすすめです。 最初は意味が7割でも気にしない。 次にテキストで確認する。 最後に、会話の一往復だけでも音声に合わせて口に出す。 この順番にすると、会話が“丸暗記”ではなく“流れの記憶”になります。

類書との比較

ビジネス英語の教材には、定型フレーズを大量に覚えさせるものも多いです。 本書は、フレーズ単体より会話の流れを重視します。 さらに題材が「最先端の話題」に寄っているので、内容に飽きにくい。 語学の本でありながら、読み物としても成立しているタイプです。

こんな人におすすめ

  • 会議英語は分かるのに、雑談が続かない人
  • 音声で英語を鍛えたい人
  • “今っぽい話題”を英語で話せるようになりたい人
  • フレーズ暗記に飽きてしまった人

感想

この本を読んで良かったのは、「英語ができる」より先に「英語で話すネタがある」状態に近づけるところでした。 20レッスンという量も、続けるには現実的です。 ミニドラマの会話を軸に学べるので、机の上の英語が一段だけ現場に寄る。 ビジネス英語を“運用”したい人に向いたベスト盤だと思います。

ジェントリフィケーションのように、日本語でも説明が難しい話題も入っています。そこも良い刺激でした。 「分かったつもり」で済ませず、言い換えながら理解する必要が出てくる。 そのプロセス自体が、英語で話す力を底上げしてくれます。

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    高橋 啓介

    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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