レビュー

概要

『ちびまる子ちゃんの時間の使いかた』は、「ついダラダラしちゃう」「やることを後回しにしてギリギリで焦る」「自分の時間が取れない」といった子どもにありがちな悩みを、まる子たちの日常マンガと、すぐ試せる工夫でほどいていく“時間の入門書”です。監修は「ぬまっち」こと沼田晶弘先生で、気合いより先に「ちょっとした工夫で時間は増える」という感覚を育てる作りになっています。

時間術の本というと、効率や生産性の話に寄りがちですが、この本は子どもの現実から始まります。宿題、習い事、ゲーム、友だち、家の手伝い。やることが多くて混乱する状況の中で、どうやって“今日の自分”を動かすか。そこを漫画で笑わせながら、具体策で支える。親が読んでも「怒る前に、仕組みを作る」という発想に切り替えやすい一冊です。

読みどころ

1) カレンダーとTODOリストを「子ども仕様」で落とす

大人のタスク管理をそのまま押し付けるのではなく、「しめきりまでにできる」感覚を作るための道具として紹介されます。予定を見える化するだけで、焦りが減る。ここを体験として理解させるのが上手いです。

2) メリハリ(がんばる/休む)をセットで教える

時間の使いかたは、努力だけでは続きません。この本は「がんばるときと休むとき」を分ける感覚を強調し、休むことも計画に含める。だから、やり切る感覚が残ります。

3) “段取り”を生活の中で練習させる

そうじや料理の手伝いなど、家庭内の場面を「段取り力のトレーニング」に変える発想が具体的です。時間術が机の上で終わらず、生活の動きとつながります。

本の具体的な内容

本書の中心は、「時間に追われる子ども」ではなく「時間を扱える子ども」を育てるためのコツです。たとえば、カレンダーやTODOリストを使って、しめきりを先に決めておく。宿題を“気分”で始めると遅れるけれど、“始める時刻”を先に決めてしまうと動きやすい。こうした発想の転換が、まる子のズボラさとセットで描かれるので、説教くさくなりません。

さらに、夏休みの計画表やタイムスケジュールの作り方が扱われます。「毎日ちゃんとやる」より、「やる日/やらない日」を先に決める方が続く、という方向に寄せているのが現実的です。予定を立てることが目的ではなく、予定が崩れたときに立て直せることが目的。そのための“逃げ道の作り方”まで含めて語られます。

コラムも具体的で、しめきりに遅れないための必殺ワザ、段取りを生かしたデザートの作りかた、集中力アップ大作戦、そして「ラクラク勉強大作戦」など、子どもが手を動かせる要素が多い。時間術を「我慢」ではなく「ゲーム感覚の工夫」に変える仕掛けが散りばめられています。

また、監修者メッセージでは、少し工夫するだけで“時間マイスター(達人)”になれる、という言い方で背中を押してくれます。時間を上手に使うことは、たくさんのことに挑戦する余白を作ること。つまり、人生の選択肢を増やすことだ、という方向へ話が伸びていくのが良かったです。

「夏休みの計画表」を作る時に効くポイント

計画表のパートは、親子で一緒にやると効きやすいです。まずは「やること全部」を書き出して、次に「絶対に動かせない予定(旅行・習い事・家の予定)」を先に埋める。最後に、宿題や復習を“毎日少し”に割り振るのではなく、「まとまってやる日」と「休む日」を作って波をつける。こうすると、計画倒れになりにくい。まる子のように“気分に左右されるタイプ”ほど、波を認めた設計のほうが続きます。

実際、まる子がやりがちなのは「目の前の楽しさ(テレビやゲーム)」に引っ張られて、やるべきことの開始が遅れることです。本書は、こうした“あるある”を題材にしながら、始める時刻を決める/終わりも決める/終わったら休む、という区切りの付け方を教えてくれます。時間の感覚がつかめない子にほど刺さる内容だと思います。

こんな人におすすめ

  • 宿題や支度を後回しにしがちな子ども
  • 計画を立てても三日坊主で終わってしまう子ども
  • 「早くしなさい」と言い続けるのがしんどい保護者
  • タスク管理を“生活の力”として身につけさせたい家庭

感想

時間管理は、大人でも難しいのに、子どもに「ちゃんとしなさい」で通るはずがありません。この本の良さは、まる子の“できなさ”を笑いに変えつつ、カレンダーやTODOリストといった道具に落としていくところです。気合いではなく仕組み。怒鳴るのではなく見える化。ここに一貫性があります。

もう1つ好きなのは、生活の手伝いを「時間のトレーニング」に変える視点です。料理や掃除は、ただの労働ではなく、段取り・優先順位・時間配分の教材になる。そう考えると、家庭の中の時間が“学びの場”に変わります。時間の使いかたを身につけると、勉強が回るだけでなく、遊びの満足度も上がる。そんな当たり前を、子どもの言葉に翻訳した一冊でした。

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