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レビュー

概要

『天国での暮らしはどうですか2』は、中山有香里によるグリーフ・コミックエッセイの続編です。大切な存在を亡くしたあと、「あの子はいまどうしているだろう」「最後にもっとこうできたのではないか」と考えてしまう気持ちを、天国での暮らしというやさしい設定を通して受け止めていきます。人間だけでなく、ペットとの別れも含めて扱うので、読む人の経験に重なりやすい構成です。

前作の延長線上にある作品ですが、2巻では「残された側の後悔」にもう少し深く触れている印象があります。ただ癒やすためのファンタジーではなく、会えなかったこと、言えなかったこと、間に合わなかったことを抱えたまま、それでも少し呼吸をしやすくする本です。

読みどころ

この本の読みどころは、死別の痛みを無理に整理しないところです。喪失を経験したとき、人は「前向きにならなきゃ」と急かされることがあります。でも本書は、そう簡単には切り替えられない感情を前提にしています。会いたい、謝りたい、ちゃんと送れなかった気がする。そうした気持ちを否定せず、そのまま物語に置いてくれるのが大きいです。

また、オムニバス形式なのも効いています。1つの重い話だけで押すのではなく、いくつかのエピソードを通して、別れの形が一通りではないと見せてくれます。人との別れとペットとの別れも、単純に軽重で並べず、それぞれ固有の痛みとして扱っています。そのため、読者は自分の経験に近い話を見つけやすいです。

加えて、Another Story 的な視点の置き方もこのシリーズの魅力です。一方向からだけ感情を押しつけず、少し角度を変えて見せることで、読者の受け止め方にも余白が生まれます。泣かせるためだけの構成にならず、「こういう見方もあったかもしれない」と思えるのが良いところです。

類書との比較

ペットロスや死別の本には、悲しみから回復するプロセスを説明する実用書も多いです。それらと比べると、本書は解説より物語を前に置きます。アドバイスを受けるというより、似た痛みを別の形で見つめ直す本だと言ったほうが近いです。そのため、理屈で整理したいときより、気持ちの置き場が欲しいときに向いています。

また、ただ「天国で幸せにしています」で終わる慰めの本でもありません。天国という設定はやさしいですが、その中で扱われる感情はかなり現実的です。だから、甘すぎる癒やし本が苦手な人でも入りやすいです。

こんな人におすすめ

  • 大切な人やペットとの別れを、まだうまく整理できていない人
  • 重すぎる実用書より、物語で気持ちを受け止めたい人
  • 前作が良かった人
  • 少しずつ読めるコミックエッセイを探している人

感想

このシリーズの良さは、悲しみを消すことを目標にしていないところだと思います。忘れるのでも、前向きになるのでもなく、「抱えたまま息がしやすくなる」方向で描いてくれる。その温度感がとても信頼できます。

2巻は特に、きれいな言葉では片づけられない後悔に近づいています。もしあのとき、もう少し違うことができたのではないか。そう考えてしまうのは自然なことだし、その気持ちを持ったままでもいいのだと感じさせてくれます。優しいだけでなく、ちゃんと喪失の重さも見ている続編です。

本書のやさしさは、無理に希望を提示しないところにもあります。「天国で元気にしているはず」と言い切るのではなく、そう想像することで今日を少し過ごしやすくする、という距離感に留めています。この慎重さがあるので、喪失の傷がまだ新しい人でも、押しつけられた感じが出にくいです。

コミックエッセイとしての読みやすさも大きな強みです。文章だけで悲しみを説明されると重くなりすぎるテーマですが、本書は絵のやわらかさと場面の切り取り方によって、読む側が少しずつ受け止められるようにしています。短いエピソードでも感情の芯が残るので、長く読めない時期の人にも入りやすいと思います。

続編としての意味

前作が世界観の紹介だとすれば、この2巻はその世界観の中で、より個別の痛みを描く巻です。シリーズものによくある焼き直し感は薄く、「まだこのテーマを掘れる」と感じさせます。喪失を経験した人が、夜に少しずつ読める本としてかなり良い一冊です。

前作で救われた人が続きを読む価値は十分にありますし、逆にこの巻から入っても、シリーズの意図はきちんと伝わります。死別や別れに関する本を探していて、説明よりも寄り添いのほうを求めている人には、実用書とは別の意味で支えになる一冊です。

読み終えたあとに気持ちが急に軽くなる本ではありませんが、悲しみの置き場が少し整う感覚は残ります。喪失の経験を言葉にしきれない人にとって、「この感覚のままでいていい」と確認できるだけでも大きいです。静かな本ですが、必要な人にはかなり深く届く続編だと思います。

強い結論を出さない誠実さも、この本の大きな価値です。

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