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レビュー

概要

『HEAL 癒しの力 自己治癒力の秘密』は、「心(思考・信念・感情)が身体に与える影響」を、取材と事例と研究知見を材料にしながらまとめた一冊です。いわゆる「気の持ちよう」で片付ける話ではなく、ストレス反応、プラセボ/ノセボ、免疫、睡眠、社会的つながりといった複数の要素が、回復や健康行動にどう関わるかを、インタビュー形式で広げていきます。

本書の読み味は、医学書というよりドキュメンタリーに近いです。科学者、医師、スピリチュアルリーダーなど幅広い語り手が登場し、身体が変わった体験談も多い。そこには希望がありますが、同時に、読者側が「何をエビデンスとして受け取るか」を選び取る必要もあります。全部を鵜呑みにするより、「自分の生活を変えるための仮説集」として読むと回収率が上がります。

読みどころ

1) 「回復=治療」だけではない、と視野を広げてくれる

治療は医療機関で受けるものですが、回復は生活の中で進みます。本書は、身体の回復を左右する要因として、睡眠、食事、運動、瞑想、呼吸、対人関係、意味づけ(自分はなぜ生きるか)などを1つの地図として提示します。ここが良いのは、診断名にかかわらず、読者が自分の行動に落としやすい点です。

2) プラセボ/ノセボを「だまし」ではなく「脳の仕組み」として扱う

プラセボは「思い込み」と誤解されがちですが、実際には期待や文脈が痛みや不安などの知覚を変えることが知られています。本書はこの領域を入口に、「情報」「言葉」「関係性」が身体反応に与える影響を考えさせます。逆方向のノセボ(悪い期待で悪化する)も含め、医療の現場に限らず、日常のセルフトークやSNSの情報摂取にまで射程が伸びます。

3) 体験談が多く、行動変容のきっかけになりやすい

健康本で重要なのは、正しさだけでなく「やってみよう」と思えるかです。本書は、がんからの回復を含む強い事例も取り上げ、読む人の感情を動かします。ただし、ここは注意も必要で、体験談は再現性が低い。だからこそ、読者は「自分にもできる小さな実験」に落とし込み、短期間で効果検証する姿勢が大事になります。

類書との比較

ストレスと身体の関係を科学寄りに学びたいなら、ロバート・サポルスキーの『なぜシマウマは胃潰瘍にならないのか』のような本が合います。逆に、トラウマや身体反応の関係を深く扱うなら『身体はトラウマを記録する』のような方向です。本書は、そのどちらかに寄り切るというより、「科学と体験のあいだ」を広く歩く構成になっています。

そのため、厳密な科学書を期待すると、語りの幅(スピリチュアル寄りの視点)に戸惑うかもしれません。一方で、理屈だけだと変われない人には、広い語り手と事例が“背中を押す素材”になります。用途が違う、と割り切って読むと良いです。

具体的な活用法(安全に、現実的に効かせる)

健康系の本は、やり方を間違えると「治らないのは自分のせい」と自責に向かいがちです。本書を活かすなら、次の運用がおすすめです。

1) まず「医療」と「生活改善」を分けて設計する

持病や症状がある人は、医療の判断(受診、薬、検査)を先に確保します。そのうえで、生活改善を「回復の土台づくり」として別枠で積み上げます。本書のメッセージは、治療の代替ではなく、回復力を支える周辺要因を整える方向で使うのが安全です。

2) 1週間の“小さな実験”に落とす

いきなり人生を変えようとすると続きません。次のどれか1つだけ選び、1週間だけ実験します。

  • 就寝前30分はスマホを置き、睡眠時間を固定する
  • 1日5分の呼吸法や瞑想をやり、気分の揺れを記録する
  • 食事を「タンパク質を先に」など1ルールだけ変更する
  • 週2回、20分の散歩を入れて、疲労感の変化を見る

ポイントは、主観だけでなく、睡眠時間、気分、痛み、集中などを10点満点で毎日つけることです。測定できるものは改善できます。

3) 情報摂取を「回復に寄与するか」でフィルタする

ノセボを避ける意味でも、刺激の強い健康情報はコストになります。本書を読んだ後は、SNSや動画の健康ネタを無制限に浴びるのではなく、「不安が増えたか/行動が増えたか」で評価して、増やす情報と減らす情報を分けるのが有効です。

4) “意味づけ”は、宗教ではなく行動計画として扱う

本書は「人生の意味」や「信念」に触れますが、ここを抽象論で終わらせない方が良いです。おすすめは、価値観を次の形に落とすことです。

  • 何のために回復したいのか(具体的な予定や役割)
  • 回復したら何を再開したいのか(運動、旅行、仕事)
  • そのために今週できる最小の行動は何か

価値観は、行動の燃料になります。

こんな人におすすめ

  • ストレスや不安が体調に影響している実感がある人
  • 医療の治療に加えて、生活側でできることを増やしたい人
  • 健康情報に振り回されやすく、整理の軸がほしい人
  • 理屈だけでなく、体験談から行動のきっかけが欲しい人

感想

『HEAL』は、科学だけでも、精神論だけでも到達しにくい「回復の現実」を、読者の生活へ引き寄せてくれる本でした。特に、プラセボ/ノセボの話は、医療の文脈を離れても応用できます。言葉が気分を変え、気分が行動を変え、行動が体調を変える。この連鎖を意識できるだけで、日々のセルフケアの精度が上がります。

一方で、強い事例ほど真似したくなる反面、再現性は低いです。だからこそ、読後は「自分の1週間の実験」に落とし、体感を確かめながら進めるのが良いと思います。回復はマラソンなので、派手な一発より、続く仕組みが勝ちます。本書は、その仕組みづくりの発想をくれる一冊でした。

本の虫達

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    大手出版社で書籍編集を10年経験後、独立してブロガーとして活動。科学論文と書籍を融合させた知識発信で注目を集める。
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    佐々木 健太

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