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レビュー

概要

『学校では教えてくれない大切なこと 37 続ける力』は、「やる気が続かない」「三日坊主で終わる」を“意志の弱さ”として責めず、続けられる仕組みと考え方を子ども向けに教える実用漫画だ。勉強、習い事、運動、片づけ、日記……続けたいことはあるのに続かない。その悩みを、自己否定ではなく工夫で解決できる形に分解していく。

本書の流れは、①今の自分を知る(なぜ続かなかったかを観察する)、②続けるための方法を増やす、③やりたくない時・挫折した時の対処を持つ、という三段構え。特に良いのは「まずは三日坊主でもOK」と言い切るところだ。続けるとは、最初から完璧にできることではなく、戻ってくる技術である。ここを最初に前提に置くことで、子どもが折れにくくなる。

大人が読むと、習慣化の理屈(小さく始める、摩擦を減らす、環境で支える、失敗を設計に戻す)が、子ども向けにかなり上手く翻訳されているのが分かる。続ける力は“根性”ではなく“設計”。この一本芯が通っている。

読みどころ

1) まず「続かなかった理由」を責めずに観察する

続かないとき、人はすぐ自分を責める。でも原因は、難しさの設定、時間帯、道具の準備、周囲の誘惑、疲れなど、環境側にあることが多い。本書は「どんなことが続かなかった?」「なぜ続かなかった?」を振り返らせ、原因を言語化する。これはそのまま改善の入口になる。

2) “魔法ポイント”=続けるための手がかりを増やす

続ける方法は1つではない。見える化、記録、仲間、報酬、場所、時間、難易度調整など、いくつもある。本書はそれを子どもが試せる形で提示し、「自分に効く方法」を見つける発想へ導く。続ける力は、生まれつきの属性ではなく、相性のよい仕掛けを選ぶ力だと分かる。

3) 「三日坊主」を失敗にしない設計

三日坊主は、やめたことではなく、始められたことの証拠でもある。続ける力は、途切れた瞬間に終わるのではなく、途切れた後に再開できるかで決まる。本書は、再開のハードルを下げるために、最初から小さく始める、目標を下げる、1回だけやる、などの考え方を入れている。これは大人の習慣化にも効く。

4) やりたくない日・挫折の日の“復帰ルール”を持つ

続けるには、気分に左右されない仕組みが必要だ。本書は「やる気がなくなったらどうする?」を、精神論ではなく具体の手に落とす。たとえば、やる量を減らす、時間を短くする、準備だけする、応援してくれる人(サポーター)を作る。挫折に備えるのは、弱さではなく賢さだと教えてくれる。

類書との比較

大人向けの習慣化本は、理屈は正しくても子どもには抽象的になりがちだ。本書は漫画と例で、生活の場面に直接刺さる形にしている。さらに、続ける力を「夢や目標がある人向け」に限定せず、「夢や目標がよく分からない」状態も含めて扱う。ここが優しい。

こんな人におすすめ

  • 三日坊主になりやすく、「自分は続けられない」と思い込んでいる子
  • 勉強や習い事の習慣がつかず、親子で揉めがちな家庭
  • 子どものやる気を、叱咤ではなく仕組みで支えたい保護者
  • 習慣化を学び直したい大人(子ども向けの方が刺さることもある)

感想

続ける力は、才能より“復帰力”だと思う。本書はその本質を、子どもに分かる言葉で伝えている。続かなかった過去を責めるのではなく、続けるための方法を増やし、合うものを選び、途切れても戻れるように設計する。これができれば、勉強でも運動でも片づけでも、人生の難易度が下がる。

親の立場で見ると、「続けなさい」と言う回数を減らせる点が大きい。言葉で押すほど反発が増える。そこで本書の発想を借りて、まず“魔法ポイント”を一緒に探す。準備のハードルを下げ、場所と時間を決め、やる量を小さくする。すると、親子の関係も守れる。続ける力は、家庭の空気を整える力でもあるのだと感じた。

続けられる人は、特別な人ではない。続けられる仕組みを持っている人だ。本書は、その仕組みを子どものうちに渡してくれる。地味だが、一生使えるスキルだと思う。

大人になってから習慣化に悩む人ほど、「最初から毎日やる」発想で自滅しがちだ。本書が勧める“まず三日でもOK”は、実はかなり高度な戦略で、成功体験を先に作って自己効力感を育てる方法でもある。続ける力は、気合いで押し切る力ではなく、失敗した自分を現場に戻す力。その観点があるだけで、挑戦のハードルは大きく下がる。子ども向けの本だが、むしろ大人が救われる一冊かもしれない。

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