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レビュー

概要

『学校では教えてくれない大切なこと 37 続ける力』は、勉強や習い事が続かない子どもに向けて、「続けられないのは根性が足りないからではない」と伝えてくれる実用漫画です。片づけ、読書、運動、日記など、子どもが日常でつまずきやすい題材を使いながら、続かない理由を見つけて、続きやすい形へ変える考え方を教えてくれます。

このシリーズは生活スキルを子ども向けに噛み砕くのがうまいですが、本書もかなり当たりの一冊です。続けることを「気合い」ではなく「仕組み」で考えるので、失敗経験が多い子でも読みやすいですし、親が横で読んでも声かけの方向を修正しやすいです。

特に良いのは、「毎日完璧に続ける」以外の勝ち方を見せてくれるところです。続く子と続かない子の差を才能の差にせず、やり方の差として扱ってくれるので、子どもが自分を嫌いになりにくい。習慣化の本質をかなりやさしく翻訳した本だと感じました。

1) 続かない理由を「性格」ではなく「条件」で見直せる

本書では、続かない原因を「だらしないから」「飽きっぽいから」と決めつけません。難しすぎる目標、始めるまでの手間、やる時間の曖昧さ、周囲の誘惑、疲れや気分の波など、続かない背景を具体的に分けて考えます。

この見方が身につくと、失敗したときの反応が変わります。「またダメだった」で終わる代わりに、「やる量が多すぎたのか」「始める前の準備が面倒だったのか」と原因を探せるようになります。子どもにとって、この差はかなり大きいです。自分を責める方向から、やり方を直す方向へ意識を移せるからです。

2) 小さく始める設計がうまく、再現しやすい

習慣化の本には「まず毎日5分から」と書かれていることが多いですが、本書はそれをさらに子どもの生活に落とし込んでいます。1ページだけ読む、1問だけ解く、道具だけ出す、準備だけする、といった最小単位の考え方が出てくるので、実際に動きやすいです。

子どもが続かない理由のひとつは、最初の一歩が重すぎることです。本書はそこをよく分かっていて、「ハードルを下げるのは甘えではない」と伝えてくれます。むしろ、続く仕組みを作るためには最初の負荷を軽くするほうが合理的だと分かる。この発想は、大人が家計簿や運動を続けるときにもそのまま使えます。

3) 「三日坊主でも戻ればいい」と教えてくれる

本書のいちばん大事なメッセージは、途切れたことを終わりにしないことです。多くの子どもは、1回忘れたり、数日サボったりすると「もうダメだ」と思ってしまいます。そこで再開できず、苦手意識だけが残ります。

この本は、続ける力を「途切れない力」ではなく「戻ってくる力」として扱います。ここが非常に実践的です。続けられる人は失敗しない人ではありません。失敗後の戻り方を知っている人です。そう分かるだけで、挑戦のハードルはぐっと下がります。親の立場から見ても、「やめないこと」より「戻りやすくすること」を意識したほうが、関係はこじれにくいと感じました。

4) 親の関わり方まで自然に見直せる

子ども向けの本ですが、実際には親向けの示唆もかなり多いです。続かない子に対して「ちゃんとやりなさい」と圧をかけると、短期的には動いても長続きしません。本書を読むと、必要なのは説教より環境調整だと分かります。

たとえば、やる時間を固定する、道具を出しやすい位置に置く、終わったら記録できるようにする、少しできたら認める、といった関わり方です。こうした支え方なら、親子で消耗しにくいですし、子どもも「やらされている」感覚から抜けやすいです。家庭の空気を悪くしない習慣化本としても優秀でした。

類書との比較

大人向けの習慣化本は、子どもへそのまま渡すには難しいことがあります。理屈が多く、生活の場面へ落としにくいからです。本書は漫画と会話で進みます。だから行動のイメージを持ちやすく、親の説明がなくてもある程度は自分で読めます。

また、「夢がある子」「意識が高い子」だけを前提にしていない点も良いです。やる気が続かない子、何を目標にすればいいか分からない子まで含めて扱うので、間口が広い。生活習慣を整える第一歩としてかなり使いやすい本です。

こんな人におすすめ

  • 勉強や習い事が長続きせず、自信をなくしている子
  • つい「続けなさい」と言ってしまい、親子で疲れている家庭
  • 子どもに習慣化を教えたいが、精神論ではうまくいかないと感じている人
  • 大人向け習慣化本では抽象的すぎると感じる保護者

感想

続ける力を「意志」ではなく「設計」で教える本は多いですが、ここまで子どもの生活に寄せて具体化できている本は貴重です。勉強机へ向かう前に何が邪魔になるのか。途切れたあとにどう戻るのか。うまくいった日は何が違ったのか。こうした観察を習慣にできれば、子どもは勉強以外でもかなり強くなります。

読んでいて印象的だったのは、「続かない自分」への見方がやさしいことでした。続かない経験は、子どもにとって自己否定の材料になりやすいです。本書はそこを避けて、「合うやり方をまだ見つけていないだけ」と考えさせてくれます。この一言があるだけで、次の挑戦に向かいやすくなります。

一生使えるのは、特定の勉強法ではなく、続け方を調整する力です。本書はその基礎を、かなり実践的に渡してくれる一冊でした。

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    佐々木 健太

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