レビュー
概要
『ホムンクルス』1巻は、失った記憶と身体のズレを扱うサイコスリラー。主人公は脳神経外科の治療としてトラウマを掘り返すホムンクルス手術を受け、心拍と視覚のリズムが崩れる過程で脳と身体の再設定に挑む。
読みどころ
- 手術の最中、目を閉じて呼吸を合わせる描写があり、息をひそめた状態で脳の波形(描線)と体の震えを同期させる。痛みの中で心拍を整えることが、リアルな身体調律の場面になっている。
- 治療後の短時間に加速する心拍は、不安と希望の交差点。身体の揺らぎを線で表して、読者が息を整える瞬間を追体験させる。
- 他者との接触が身体のリズムの再生を促す場面が続き、触れ合いで徐々に呼吸が整うプロセスが描かれる。
類書との比較
『寄生獣』や『サイコメトラー』のような異形との共生物語ではなく、こちらは「身体のズレ」を切り取る心理の鋭さが主体。身体のリズムを狂わせる恐怖を、科学で対処する点で独自。
感想
身体を揺さぶる緊張が、呼吸を試すようにページに刻まれる新感覚のスリルだった。