レビュー
概要
『ぐらんぶる』1巻は、海の近い大学へ進学した北原伊織(いおり)が、叔父のダイビングショップ「グランブルー」に居候するところから始まります。
ダイビング漫画と聞くと爽やかな青春を想像しますが、この作品はまず“酒”と“裸”と“悪ノリ”が襲ってくる。ダイビングサークル「Peek a Boo(PaB)」の先輩たちが強烈で、伊織の大学生活は初日から暴走します。
ただの下品ギャグで終わらないのが1巻の面白さです。飲み会の破壊力がすごいのに、海の描写が入ると急に綺麗で、ちゃんとダイビングがかっこいい。
その落差がクセになります。
読みどころ
1) ギャグの勢いが、想像よりずっと強い
1巻の序盤から、PaBのノリは容赦がありません。
強引な勧誘、飲み会のテンション、全力でくだらない勝負。伊織は巻き込まれながらも、なぜか同じテンションで返してしまう。だから、単なる被害者にならず、コメディとして回ります。
2) 海のシーンで、作品の印象がひっくり返る
この作品が長く読める理由は、笑わせるだけではなく、ちゃんと“海の魅力”が入ってくるからです。
酒でバカやっているのに、潜った瞬間に世界が静かになる。水中の色、光、呼吸の感覚。そういう描写が入ると、「ダイビングやってみたい」が自然に生まれます。
3) ヒロイン勢が、ただの添え物にならない
伊織の周りには、距離感の違う女性キャラがいて、大学生活の空気を変えます。
男ノリの暴走が続くほど、誰かがツッコミとして効いてくる。1巻は、その配置がうまくて、ギャグの一本調子になりにくいです。
1巻の面白さ(“大学デビュー”の理想を、勢いで粉砕する)
伊織は海の近くで、爽やかな大学生活を送るはずだった。
でも現実は、想像以上に“濃い人間関係”が待っている。しかもその濃さは、悪意というより、愛のある悪ノリです。だから腹が立つより先に笑ってしまう。
それでも、飲み会だけなら飽きます。『ぐらんぶる』が強いのは、「この人たち、ダイビングには真面目」という芯があるところです。
ふざけるときは限界までふざける。でも潜るときはかっこいい。その二面性が、1巻からしっかり見えます。
1巻の具体的な見どころ(伊織が“巻き込まれて”終わらない)
1巻の伊織は、基本的に被害者ポジションです。
居候先でいきなり強烈な先輩たちに絡まれ、何も知らないまま飲み会に放り込まれ、大学生活の初速が破壊される。でも、この漫画が気持ちいいのは、伊織がただ振り回されるだけじゃないところです。
ツッコミで終わらず、妙にノリが良い。変な勝負に乗る。言い返す。
その瞬間から、伊織も“同類”になっていく。この「落ちていく速度」が、1巻のコメディを加速させます。読者としては「やめとけ」と思いながら、次のページをめくってしまうんですよね。
そして、そこに混ざってくるのが、ガチめに真面目なダイビングの空気です。
水の中に入った瞬間の静けさ、視界が開ける感じ、呼吸のリズム。陸でバカやっていた人たちが、海の話になると急に表情が締まる。そのギャップが、作品を単なる悪ノリ漫画にしません。
ギャグの“質”が高い(勢いだけじゃなく、絵で笑わせる)
『ぐらんぶる』は、セリフの勢いだけで笑わせるタイプではなく、顔芸と間で笑わせてきます。
パニックの表情、友情なのか圧なのか分からない絡み方、真顔で変なことを言うコマの置き方。1巻から、絵で笑わせる力がかなり強いです。
その一方で、海のシーンは線が繊細で、見ていて気持ちいい。
「ふざけるところは徹底的にふざける」「魅せるところはきちんと魅せる」の切り替えができているから、読後に不思議と爽やかさも残ります。
こんな人におすすめ
- とにかく笑える漫画を読みたい人
- 青春ものが好きだけど、爽やかすぎるのは物足りない人
- 海やダイビングに興味がある人
感想
1巻を読んだあと、まず思うのは「こんな大学生活、あるわけない」なのに、なぜか納得してしまうことです。
PaBの先輩たちはやばい。でも、やばい人たちが本気で楽しそうにしていると、憧れの気持ちも少し出てくる。伊織が巻き込まれながらも、どこか楽しそうなのが分かるからです。
個人的に好きなのは、海の描写がちゃんと“別世界”になっているところです。
笑いで緩んだあとに、水中の静けさが来る。その落差が気持ちいい。ギャグ漫画として読むだけでも面白いし、ダイビング漫画としての入口にもなる。1巻は、その両方を成立させるスタートでした。
電子版は、見開きのテンポが良くて、ギャグの勢いを止めずに読めます。
ただし、お酒のノリや裸のギャグが多めなので、そこが苦手だと合わない可能性もあります。逆に、そこを越えられる人には、笑いと海の気持ちよさの両方を一気に味わえる1巻です。