レビュー
概要
短編の恋愛物語のように始まりながら、突然戦争の空気が吹き込まれる衝撃の第1巻。内気な少年・瀬川が出会ったのは、何でも破壊する力をもつ少女・ちせ。二人の距離が縮まるほどに、ちせの「最終兵器」としての役割が現実を揺さぶる。戦争の狂気と少年少女の純粋さを同居させた構成が特徴。
読みどころ
- ちせの戦闘シーンは静かなコマと一気に爆発するカットとを織り交ぜて、観客の視線を完全に制御する。音も無いのに騒音が伝わるような作画が生々しい。
- 瀬川の視点で描いた学園の日常と戦場のコントラストが浮き彫りに。彼女が普通の女の子なのに、国の資源になるという抑圧が痛い。
- 恋心と兵器性が互いを蝕む様子を、ページの間に挿入した思い出で表現することで、情緒的な重さが読者を引き込む。
類書との比較
『ベルセルク』のようなダークファンタジーとは違い、『ジョジョ』的な奇抜さもないが、戦争の非人間性を恋の目線で掘り下げた点で独特。『ライフ・イズ・ストレンジ』的な時間と選択の重さも感じられる。
こんな人におすすめ
- 恋愛と戦争の両方を同時に味わいたい読者。
- 平凡な日常が壊される瞬間を、主人公と共に体感したい人。
- 声少なめの近未来SFと胸を打つラブストーリーを好む方。
感想
ちせが叫ばずとも世界を壊すなら、まさに危うい天使だった。戦争の残酷さを、決して派手には描かず、静かに心臓に刺してくる。