レビュー
概要
昭和の下宿屋「一刻館」を舞台に、神経質な大学生・五代裕作が、大家の未亡人・音無響子と微妙な距離で揺れる様子を描いた恋愛群像の第一巻。五代の穏やかな女性観と、響子の一筋縄ではいかないポジションが、エピソードごとの笑いと切なさを生んでいる。下宿人たちの協力と妨害が入り混じる中、五代は響子が再婚できない理由と向き合わざるを得ない。
読みどころ
- 下宿人たちが五代と響子の関係をあれこれ言うシーンでは、コマの構図に集団の視線を入れ、感情の温度差を視覚で表現する。
- 響子の休暇が入る話では、日本文化的な風景・花火・祭りが挿入され、個人と季節が同調するように描写。五代の心が揺れる様子が、色の使い分けや余白で表される。
- 終盤のドキドキするやりとりでは、クールな台詞とコミカルな小道具(ぬいぐるみ、くまモン的な動作)が混ざり、ラブコメの定石を丁寧に再構成。
類書との比較
『家族計画』のように下宿内政治を描くと共に、『みゆき』のような男女のテンポもあるが、『めぞん一刻』は年齢差と時代性の重圧をしっかり描く。『ラブ★コン』のようなギャグ過多ではなく、穏やかな空気に間をとる静寂感が特徴。
こんな人におすすめ
- 30年読まれてきたラブコメの原点に触れたい読者。
- 人間関係の描写にじっくり時間を使う作品が好きな方。
- 現代とは違う昭和のリズムに惹かれる読者。
感想
クスリと笑っては泣かされる構成に、昔の空気を吸いながらも今の感性で感動できる。五代の想いの深さが丁寧に描かれた第一巻だった。