レビュー

概要

戦国時代の忍者同士の全面戦争を描く本格歴史バトル。第1巻は甲賀と伊賀の二大流派が合同で再会し、謎の「甲賀忍法帖」に潜む呪術との対峙や、勢力の調整の過程を描いていく。主人公の朧と弦之介は古くからの運命に絡め取られ、それぞれが「乙女」と「英雄」として抗うことになる。暗く蒼い画面と呪文のような文言が交差し、忍術の舞台設定が徹底されている。

読みどころ

  • 朧と弦之介の一瞬の対面における沈黙、影の中で交差する眼差しの密度が、この物語のロマンを象徴。やがて始まる平和会議は裏で策略が渦巻き、忍者としての矜持と人間らしさが交錯する。
  • 甲賀・伊賀の忍法が図解風に描かれ、呪術的な術の発動条件と、体内の血が燃えるような形状で表示される。繰り出される色彩も濃厚で、現実感よりも異次元を匂わせる尺が強い。
  • 終盤の「忍法帖試合」では、互いの過去と理想がぶつかり合い、単なる技の応酬を超えた哲学的な対話へと昇華。歴史と伝説の間で命を賭したやり取りが繰り返される。

類書との比較

戦国バトルとしては『信長の忍び』の軽快さに比べると暗いが、『ベルセルク』のような宿命めいた呪術と戦士の激情には通じる。『るろうに剣心』の侠客の美学よりも、陰謀と背負う宿命を強調し、史実よりも伝説の再構築に近い。政治的な計算と超自然の両立は、『BLEACH』の世界観にも似ているが、より歴史的な骨格を残している。

こんな人におすすめ

  • 忍術と宿命をテーマにしたシリアスなバトルを読みたい人。
  • 歴史上の戦いよりも、忍者の生き様や信念に近づきたい読者。
  • 呪術のような演出と地上の肉体とのバランスを味わいたい人。

感想

忍者同士が互いの体内の記憶を読み合うような描写に、単なるアクションを超えた情緒があった。朧と弦之介のひとつの共振が物語全体を動かし、忍法が火薬よりも心象を燃やしていく。黒い背景に赤い文字が積み重なるように、緊張感が持続し、読み終えたあとも残る緊張感が心地よい。

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