レビュー

概要

『よつばと! 3』は、元気すぎる女の子・よつばと、その周りの大人や近所の人たちの日常を描く漫画です。大事件が起きるタイプの物語ではなく、毎日の中の「え、そこにそんな発見ある?」みたいな瞬間を、よつばの目線で拾っていきます。

『よつばと!』の面白さって、子どもの無邪気さを“かわいい”だけで終わらせず、大人側の疲れや照れも一緒に描いてくれるところだと思うんですよね。よつばの行動は予測不能で、周囲は振り回される。でも、振り回されながらも人が少し柔らかくなっていく。その変化が、静かに積み重なっていきます。

巻ごとのストーリーを追わなくても楽しめる短いエピソードの連なりで、どこから読んでも明るい気分になれる読みやすさがあります。疲れているときほど、こういう“息が整う漫画”は刺さります。

読みどころ

1) 子どもの「言葉のズレ」が、世界の見え方を変える

よつばは、言葉の意味を大人と同じようには理解していません。だから会話が噛み合わないこともある。でもそのズレが、笑いになるだけじゃなくて、「私たちって、当たり前を当たり前だと思いすぎてたかも」と気づかせてくれるんですよね。読むと、日常の解像度が少し上がります。

2) 大人たちが“ちゃんと不器用”でリアル

この作品に出てくる大人は、理想の優しい大人というより、普通に疲れているし、面倒くさがるし、たまに意地も張る。だから信頼できます。よつばの無邪気さが映えるのは、大人側が完璧じゃないから。子どもと大人の間の距離感が、すごく自然です。

3) 日常の「小さな達成感」を丁寧に描く

よつばが何かを知ったり、できることが増えたり、誰かと仲良くなったりする。そういう小さな前進が、ちゃんと嬉しい。成長って劇的じゃなくて、こういう微差の積み重ねなんだなと、読むたびに思います。

4) 何度でも読み返せる“余白”がある

ページに情報が詰め込まれすぎていないので、読む人の気分や年齢で受け取り方が変わります。学生の頃はよつばの面白さに笑っていたのに、大人になると周囲の人の優しさや余裕のなさに共感してしまう、みたいな。読み返すほど味が増える漫画です。

5) 笑いの中に、ちゃんとあたたかさがある

ドタバタしているのに、読後に嫌な疲れが残りません。誰かを落とす笑いじゃなくて、生活のズレや勘違いを抱えたままでも人が仲良くなれる、という安心感がある。だから気持ちが荒れているときにも開きやすいです。

6) コマの“間”がうまくて、読んでいる自分の速度が整う

『よつばと!』は、勢いで笑わせるというより、間で笑わせるタイプです。大げさな演出がないのに、次のコマでふっと笑ってしまう。これって、読者の呼吸に合わせてテンポを作っているからだと思います。忙しい日に読むと、自分の頭の回転が少し落ち着いてくる感覚があります。

こんな人におすすめ

  • 日常系の漫画で、気持ちを整えたい人
  • 仕事や人間関係で疲れていて、軽い笑いが欲しい人
  • 子ども視点の発見や、言葉のズレが好きな人
  • 何度も読み返せる“常備薬みたいな漫画”を探している人

感想

『よつばと!』を読むと、いつも「急いでいたのは自分だけかも」と思わされます。よつばは、今目の前のものへ全力で反応する。大人から見たらくだらないことでも、本人にとっては大事件。それを受け止める周りの人たちも、最初は面倒くさそうでも、結局ちゃんと相手をしてしまう。そのやりとりが、すごく人間らしいんですよね。

個人的に、この3巻は“ちょうどいい距離”の物語だと感じました。感動で泣かせに来るわけでもなく、人生訓を押しつけてくるわけでもない。でも読み終わったあと、心の中のトゲが少し丸くなっている。カフェでぼーっとしているときに開いて、数話読んで「よし、帰って洗濯するか」みたいな、生活の再起動ボタンになってくれます。

あと、『よつばと!』って「優しさの描き方」がさりげないと思います。大げさに褒めたり抱きしめたりしなくても、ちゃんと見守る、手を貸す、怒りすぎない。そういう小さな優しさが、ページの端にたくさんある。読んでいると、自分も人にもう少し優しくできるかも、と思えてきます。

よつばの言葉や行動は、たぶん大人の“効率”とは相性が悪いです。でも、効率だけで生きていると、生活が味気なくなる。よつばが毎回あらためて教えてくれるのは、「面白がる力」だと思いました。何もない日に、何かを見つける。それができると、日常が少しだけ豊かになります。

あと地味に助かるのが、読後にテンションが上がりすぎないところです。元気が出るのに、落ち着きも残る。夜に読んでも目が冴えすぎず、「明日もがんばろう」より先に「今日はよくやった」と言える感じがします。

テンションの高い漫画に元気をもらう日もあるけど、静かに呼吸を整えたい日は『よつばと!』が合います。日常に疲れたときの“逃げ場”として、手元に置いておきたい一冊です。

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