レビュー

概要

『全肯定 ~新時代のバイブル~』は、タイトルが強い分、ちょっと構えてしまう本だと思います。「全肯定って、現実はそんな簡単じゃないよね」みたいな気持ちも分かる。

でも私は、この本を「何でもOKにする」ための本というより、「自分を責める癖を止める」ための本として読むと、ちゃんと現実に効くと感じました。SNS世代って、比較が日常に入り込みやすい。頑張ってるのに、頑張りが見えなくなる。そういう時に、言葉が支えになることがあります。

本書はページ数も多すぎず、まず1回通して読めるボリュームです。私は、長い理論より、短い言葉で立て直したい日に向いていると思いました。

読みどころ

1) 「自己否定のループ」を止める視点が持てる

私がしんどいときに一番きついのは、出来事より「自分の内側の声」です。もっとできたはず、なんでこうなるの、私が悪い。こういう声が回り始めると、体力が削られます。

全肯定という言葉は、そこを断ち切るためのスイッチになりやすいです。うまくできない自分を責める前に、一度立ち止まる。私はその“間”が作れるだけで、だいぶ楽になると思いました。

2) 「元気なときのポジティブ」と違う

前向きな言葉って、元気なときは気持ちいい。でも弱っているときは、眩しすぎて見たくない日もあります。

私は、全肯定の良さは「上げる」より「戻す」に近いところだと感じました。気分を高揚させるのではなく、現実へ戻る支えになる。そういう距離感だと、押しつけっぽさが減ります。

3) “自分を大切にする”を具体的に考えやすい

自分を大切にしよう、って言葉はよく聞きます。でも具体的に何をするかは難しい。

私はこの本を読みながら、「自分を大切にする」は感情ではなく行動だと思いました。寝る、食べる、休む、断る、頼る。小さな行動を許可する。そこに全肯定が役立ちます。

合う人・合わない人

合うのは、こんな人です。

  • SNSを見るほど疲れるのに、やめられない
  • 自分に厳しすぎて、休むのが下手
  • 前向きになりたいけど、今は元気が出ない

逆に、強い言葉が苦手な人は、タイトルだけでしんどくなるかもしれません。その場合は、まず少しだけ読んでみて、合うページだけ残す読み方がいいと思います。

読み方のコツ

私は、全部を「正しい」として受け取らないほうがいいと思いました。言葉は薬にもなるけど、体調によって合う量が違う。刺さったところだけメモして、合わないところは流す。そのくらいで十分です。

また、気分が落ちているときほど、読後に小さな行動を1つ入れるのがおすすめです。水を飲む、布団に入る、返信を明日にする。全肯定を“言葉”で終わらせず、“生活”に落とすと効きます。

「全肯定」を誤解しないために

私は、全肯定を「反省しないこと」だと勘違いすると危ないと思いました。反省しないと、同じことで傷つきやすい。でも、反省の前に自分を責めすぎると、行動が止まります。

全肯定は、反省を放棄するためではなく、反省できる状態に戻すための言葉だと感じました。落ちているときに自分を殴り続けるより、まず立ち上がれる場所を作る。その順番です。

SNS世代の「比較疲れ」にどう効くか

SNSは、他人の結果が早く見える場所です。頑張っている過程より、完成した姿が流れてくる。すると、自分の今日が薄く見えます。

私は、こういうときに必要なのは「私は私でいい」と言い切る強さだけじゃないと思っています。むしろ「今日はここまででOK」と区切れる技術のほうが、今の私には効きました。全肯定は、その区切りを作るのに向いています。過剰に自分を上げるのではなく、削りすぎないように支える。私はこの距離感が好きでした。

注意点(現実の問題は残る)

最後に大事なこととして、肯定しても現実の問題が消えるわけではありません。お金、仕事、人間関係。しんどい原因が外側にあることも多いです。

でも、外側を変えるためにも、内側のエネルギーが必要です。私はこの本を、現実逃避の道具ではなく、現実に向き合う体力を戻す道具として置いておきたいと思いました。

私がやってみた「全肯定」のミニ練習

私は、全肯定を気分の話だけで終わらせないために、簡単な練習を入れるのがいいと思いました。

まず、今日できたことを3つ書く。大きいことじゃなくていいです。起きた、洗濯した、返信を1件した、みたいなレベルでOK。 次に、できなかったことを1つだけ書いて、「それでも今日はここまで」と区切る。

私はこれだけで、自己否定の勢いが弱まった日もありました。全肯定は、強く言い切るより、静かに区切るほうが続きます。

読むタイミングのおすすめ

私がいちばん合うと思ったのは、寝る前です。夜って、反省会が始まりやすいからです。昼間は耐えられても、夜に崩れる人は多い。私もそうです。

寝る前に読むと、気持ちの温度が少し落ち着いて、眠りに入りやすくなります。ページ数が多すぎないので、読み切るプレッシャーが少ないのも助かります。

まとめ

『全肯定 ~新時代のバイブル~』は、頑張りたいのに自分を削ってしまう人のための、立て直しの本だと思いました。私はこの本を、強くなるためではなく、折れないために読みたいです。

全肯定は、現実逃避じゃありません。現実に戻るための支えになります。そういう読み方ができる人には、ちゃんと味方になる一冊だと思います。

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