レビュー
弁護士と美容師、ゲイカップルの食卓が教えてくれること。
シロさん(筧史朗)は几帳面な弁護士、ケンジ(矢吹賢二)は天真爛漫な美容師。二人の日常は、毎晩の夕食を中心に回っている。
よしながふみの漫画は、いつも「普通」を描く。同性カップルを特別視せず、どこにでもいる「二人暮らし」として淡々と描写する。その「普通さ」こそが、最大の主張になっている。
料理描写が圧倒的に美味しそう。月2万5千円の食費でこれだけの品数——。シロさんの節約レシピは、そのまま実践できるリアルさ。作り置きの知恵、旬の食材の使い方、全てが参考になる。
でも本当のテーマは「老い」と「関係性」。巻を重ねるごとに、二人も両親も年を取る。ゲイカップルの法的な立場、介護、相続。避けて通れない問題に、静かに向き合っていく。
派手な事件は起きない。でも、食卓を囲む時間の温かさ、パートナーがいる幸せ、そういう「日常の尊さ」が胸に染みる。ドラマ・映画も好評で、原作の魅力を見事に映像化している。