レビュー
「10年後の自分から手紙が届いたら、あなたは何を変えますか?」
高校2年生の高宮菜穂のもとに届いた、26歳の自分からの手紙。そこには、転校生・成瀬翔を救えなかった後悔が綴られていた。
タイムリープものに見えて、この作品の本質は「後悔」と「選択」。未来を変えるチャンスを得た菜穂が、それでも迷い、間違え、傷つく。なぜなら、相手の心を変えることは、自分の意志だけではできないから。
翔が抱える苦しみの描写も丁寧だ。母親の自殺、自責の念、周囲に迷惑をかけたくないという優しさ。「助けを求められない人」をどう支えるか、という難しい問いに向き合っている。
友人たちの存在も光る。菜穂一人では救えなくても、仲間がいれば——。「誰かを救う」のは一人のヒーローではなく、小さな善意の積み重ねなのだと教えてくれる。
涙なしには読めない。でも、読後感は不思議と温かい。「今を大切に生きよう」と素直に思える、そんな作品。