レビュー

「契約結婚」から始まる、新しい家族のかたち。

大学院を出ても就職できない森山みくりと、恋愛に不器用な会社員・津崎平匡。二人は家事代行の雇用関係から、「事実婚」という形を選ぶ。ビジネスライクに始まった関係は、やがて——。

この作品の功績は「結婚」の常識を問い直したこと。なぜ妻が家事をするのが当然なのか。なぜ「好き」がないと結婚できないのか。みくりと平匡の対話を通じて、読者も自分の価値観を振り返ることになる。

「逃げ恥」というタイトルはハンガリーのことわざから。「恥ずかしい逃げ方だとしても生き延びることが大切」という意味。みくりの選択は「逃げ」に見えて、実は戦略的なサバイバルなのだ。

家事の時給換算、専業主婦の労働価値、男性の育休。社会問題を正面から扱いながら、エンターテインメントとして成立させているのが凄い。

ドラマ版の大ヒットで一般に広まったが、原作漫画はさらに深い。続編では子育てや社会の変化も描かれ、現在進行形で「今」を映し出している。

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