レビュー
「等価交換」——この世界のルールが、全てを動かす。
錬金術で亡き母を蘇らせようとした兄弟、エドワードとアルフォンス。禁忌を犯した代償として、エドは右腕と左足を、アルは全身を失った。二人は失ったものを取り戻すため、「賢者の石」を探す旅に出る。
荒川弘の物語構成は完璧に近い。全27巻、伏線は全て回収され、登場人物全員に見せ場がある。「少年漫画の教科書」と呼ばれる所以だ。
テーマは重い。人体錬成の倫理、国家による大量虐殺、差別と贖罪。ダークファンタジーの重厚さと、少年漫画の熱さが見事に両立している。
「人は何かの犠牲なしに何も得ることはできない」——等価交換の法則は、人生の真理でもある。でも物語は、それを超える何かを示してくれる。
エドとアルの兄弟愛、マスタング大佐の野望、ホムンクルスたちの悲哀。どのキャラクターも深く、再読するたびに新しい発見がある。
漫画史に残る傑作。未読なら、今すぐ読むべき一作。