レビュー

ロックに出会った瞬間の「世界が変わる感覚」を、これほど丁寧に描いた作品は少ない。主人公コユキは才能よりも体験で変わっていく。音楽が人生の主語になる過程が、現実的な温度で積み上がる。

演奏シーンは音が聴こえる描写の見本。ライブの空気、練習の痛み、仲間との摩擦までが連続している。音楽は美しいだけではないという事実が、むしろ熱量を増幅させる。

「自分にも何か始められるかもしれない」と思わせる一冊。初巻から勢いが強く、ロックの入口として最適だ。